<特集−呉の食文化 4>
昭和11年創業の老舗パン屋
メロンパン


呉っ子に愛され続ける手作りパン
 呉っ子なら、「メロンパン」にお世話になった経験はだれでもあるだろう。朝の登校や出勤途中に、学校帰りに、キャンプやハイキングなどの行楽前に、フラリと立ち寄ってはおいしそうなパンを買った経験があるはずだ。
 メロンパンとは、一般的には菓子パンのひとつの名称。しかし、呉市民にとってメロンパンといえば、まずはパン屋の名前であり、カスタードたっぷりのパンのこととなる。もっとも、一般的に知られているメロンパンには、カスタードなどは入っていない。果物のメロンのように表面が網目状になったパンのことを指す。
人気のメロンパンの写真

   人気のメロンパン(左)
   瑳■(が)の小倉庵(中央)※■は王へんに我
   ナナパン(右)
  とはいえ、メロンパンという名称そのものの由来は、呉の「メロンパン」だという説が有力だそうで、以前にテレビ局が取材にきたことがあるそうだ。戦前からのパン屋は全国的にも珍しく、なかでもメロンパンという名のパンを売っていたのは、ここだけだという。
昭和10年代のメロンパン本店の写真
昭和10年代のメロンパン本店
現在のメロンパン本店の写真
現在のメロンパン本店
 「戦前のメロンは、今よりももっと高級感のある果物でした。そこで、高級なイメージをつけようと先代の中塩春馬が店名にしたそうです」とは、2代目中塩勝機さんの妻の喜代子さん。先代が北海道室蘭出身だったことから、開店当初から北海道バターをたっぷり使った本格的パンを焼いていた。しかも、「メロンパン」のパンはどれも中身がたっぷりだ。あんにしても、カスタードクリームにしてもチョコクリームにしても、通常の2倍以上は入っている。初めて食べた人には、ショッキングなほどの量である。なのに、価格は手頃。なんでも先代は広告が大キライで、広告や店構えに使うお金があるなら、厳選した材料を使った高級パンを手頃な価格で食べてもらいたい、というのがモットーだったのだという。
 その精神は2代目にも受け継がれ、メロンパンの店は昔も今も変わらない。大きなガラスケースにど〜んとパンが並んでいるだけのシンプルな店内。ひっきりなしに訪れるお客さんは、店員さんに注文をしてパンをとってもらう対面販売方式が昔のまま続いている。
 しかし最近では「メロンパン」のファンが全国に広がり、どうしても送ってほしいとの注文が殺到している。転勤等で以前呉に住んでいた人や雑誌などで紹介された「メロンパン」の記事を見て注文した途端、とりこになってしまった人などが全国津々浦々にいるためだ。「うちのパンは無添加なので日持ちがしないんです。それに、パン代と送料が同じぐらいになってしまうのに」とは、喜代子さん。
 現在では、3代目の息子さんが大学卒業後、父のもとで修行中。2代目と3代目のパンが店先に並ぶことも、そう遠くはないかもしれない。

問い合せ メロンパン本店  呉市本通7−14−1 電話0823−21−1373
他に呉中通り店あり。広島そごう新館、八丁堀福屋でも販売している。


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