出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…このことは前期量子論によって説明が与えられたが,その端緒となったのはM.プランクが黒体放射のスペクトルを説明するために用いたエネルギー量子の考え方である。彼は放射(電磁波)とエネルギーをやりとりして平衡状態になっている空洞の壁を振動子の集合とみなし,この振動子のエネルギーが,エネルギー量子hνを単位としたとびとびの値しかとれないとしたのである(プランクの量子仮説)。これに対しアインシュタインは振動数νの放射そのものがエネルギー量子hνから構成されているとし,光(電磁波)はエネルギーhνをもつ粒子としてふるまうと考えれば光電効果が説明できることを示した(光量子仮説)。…
…ところが完全だと思われていたウィーンの公式が長波長領域において実験と異なることがH.ルーベンスらによって指摘され,プランクは再検討を余儀なくされた。1900年10月,内挿法によって実験と一致する新分布式(プランクの放射則)を発表,その後ボルツマンの熱力学の原子論的解釈に従ってエントロピーを検討し,エネルギー要素ε=hν(hはプランク定数,νは振動数)という概念を導入,共鳴子の放射の吸収・放出は,このエネルギー要素の整数倍でしか起こらないとする量子仮説によって新分布式を理論的に基礎づけ,同年12月,これを発表した。プランクの成功は,電気的な実験測定手段の新段階に負うた実験的結果を踏まえ,熱放射固有の実在から規定される原理(分布則)に対して,理論的に基礎づけるにふさわしい方法を意識的に追求していったところにある。…
※「量子仮説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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