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常連客、最後の滑走楽しむ 中部唯一の室内ゲレンデ・スノーヴァ羽島

2021年12月1日 05時00分 (12月1日 16時55分更新)
記念撮影に納まるスタッフと来場者たち=羽島市福寿町間島のスノーヴァ羽島で

記念撮影に納まるスタッフと来場者たち=羽島市福寿町間島のスノーヴァ羽島で

  • 記念撮影に納まるスタッフと来場者たち=羽島市福寿町間島のスノーヴァ羽島で
  • スノーヴァ開業直後の思い出を振り返る川田さん(右)と山田さん=羽島市福寿町間島のスノーヴァ羽島で
 中部地方唯一の室内ゲレンデ「スノーヴァ羽島」(羽島市福寿町間島)が三十日、最後の営業日を迎えた。「ラストだね」「寂しいね」。ゲレンデに熱狂した常連客たちは、通い詰めた仲間と別れを惜しみながら、最後の滑走を楽しんだ。 (高野正憲)
 開館時間の午前九時前には十五人近くが列をつくった。開館すると早速に着替えて、滑り慣れたコースをなぞり、ジャンプ台や障害物で技を決めた。正午には、常連客がスタッフ三人に感謝状を渡すサプライズ演出もあった。
 閉館時間の午後五時には、スタッフ三人がゲレンデの上で集まったファンに向けて最後のあいさつ。二十年近く勤めた一戸昌平さん(43)は「申し訳なく寂しい気持ちだが、みんなに愛されていると感じられ最高でした」と涙ながらに感謝。二十三年の歴史に幕を閉じた。

「寂しいね」「青春のすべて」

 最後の日を迎えたゲレンデは、百八十人の来場客でにぎわった。プロを目指す小学生から懐かしい思い出を振り返る六十代のベテランまで、それぞれの思いを胸に滑り納めをした。
 ピラティス講師川田恵子さん(42)は、二十三歳で初めて訪れた。コースが七十メートルと短く、大好きなジャンプ台に繰り返し挑戦できるところに魅了された。すぐに仕事を辞めて愛知県豊橋市から羽島に移り住み、ジャンプを跳びまくった。
 開業当初は、今よりもさらに自由な雰囲気だった。仲間と滑り終わったらお酒を飲み、駐車場に止めた車で寝て、翌朝からまた滑る。四年前に仕事の都合で豊橋に戻ったが、ゲレンデが「私の青春のすべてだった」と目を潤ませた。
 会社員山田由樹さん(39)も、二十一歳から毎週通い続けた。「狭いゲレンデだから、お互いの滑りを見て学べる」と刺激的な環境を楽しんだ。そんな仲間の中から夫の瞬友(しゅんすけ)さん(40)と出会い、七歳と五歳の息子と四人で愛知県豊田市から通っていた。「家族にとってもかけがえのない場所だった」
 北京五輪での活躍が期待されるスノーボード女子で岐阜第一高の村瀬心椛(ここも)選手(岐阜市出身)も滑り込んだゲレンデ。稲村奎汰さん(24)=愛知県扶桑町=もスノーヴァから巣立ち、ワールドカップやXゲームなど国際大会を転戦している。七歳から通い始め、豊富な障害物や壁などを使って技を磨いてきた。今後、夏場は芝のゲレンデを使うというが、「滑り心地が別物」と貴重な場が失われるのを残念がる。
 将来を担う小学生ボーダーも、最後の滑りを楽しんだ。山口纏(まとい)君(10)と翼(たすく)君(7つ)兄弟は同県知立市から一番乗りで駆け付けた。二年間、スノーヴァの教室に通った纏君は「レールに乗れるようになった」と成長を誇った。最後まで元気よく滑り「楽しかった」と笑顔を見せていた。

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