徳重とともに同オーディションで同社入りした池田努(42)は、2003年に自身が人身事故を起こした「西部警察」の撮影に触れ、「切られてもおかしくない状況の中でずっと守ってくれた。今、この日、自分がいられるのは家族のように守ってくれた会社、先輩方のおかげ」と涙をこらえた。事故直後、社長だった渡さんが負傷者のもとを訪れ土下座して謝罪した。
舘は「池田を誰一人責める人がいなかったというだけで、会社の在り方が分かってもらえると思う」とその男気をしのんだ。
商号看板は午前10時20分頃に同社を出発。同11時半頃に渡さんの仏前へ一度供えられ、午後1時頃、東京・成城の裕次郎さん邸に到着。裕次郎さんの妻で同社会長の石原まき子さん(87)は58年ぶりに石原プロの魂を受け取り、落ち着いた様子で「くる時がきましたね」と夫の仏前に供えたという。
まき子会長は今後、版権管理業務などを扱う株式会社石原音楽出版社と一般社団法人ISHIHARAの名誉会長に就任。「命ある限り裕次郎の名前を守っていきます」とコメントした。
今後、版権会社となる石原プロは2月から新住所(未発表)に移り、12月まで清算作業を行う。
昭和の芸能史を作ったスター事務所は幕を閉じるが、信念は独立する舘らが守っていく。
★神田正輝は欠席
1973年から石原プロに48年所属した俳優、神田正輝(70)はこの日、大阪市内のABCテレビで行われたテレビ朝日系「朝だ!生です旅サラダ」(土曜前8・0)の生放送に参加していたため、やむをえず解散式を欠席した。番組では「この時間だけでも皆さんに明るくなってもらいましょう」といつもと変わらない様子で進行を務めた。放送終了後も同局に集まった報道陣に対応することなく、タクシーで後にした。