伊方原発差し止め認めず 広島地裁、仮処分申請却下
昨年8月に再稼働した四国電力伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)をめぐり、広島市の住民らが運転差し止めを求めた仮処分申請で、広島地裁(吉岡茂之裁判長)は30日、住民側の申し立てを却下する決定をした。関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)に対する28日の大阪高裁決定に続き、原発の運転を容認する司法判断が示された。
伊方原発については、松山地裁や大分地裁、山口地裁岩国支部にも住民が差し止めの仮処分を申し立てており、広島地裁決定が最初の判断。
これまでの審尋で住民側は「伊方原発は南海トラフ地震の震源域にあるのに、四国電の地震や津波の想定は不十分」と主張。「重大事故が発生した場合、広島に住む住民も深刻な健康被害を受ける」と訴えた。
これに対し、四国電側は原子力規制委員会の新規制基準に沿って安全対策を取り、審査に合格したと主張。「最新の科学的知見を踏まえた対策を講じており、安全は確保されている」と反論していた。
伊方原発は四国電が所有する唯一の原発。3号機は2015年7月に国の安全審査に合格し、16年8月に再稼働した。四国電は1号機は廃炉とし、2号機については未定。
原発の運転差し止めの仮処分をめぐっては地裁の判断が分かれている。関西電力高浜原発に対し、福井地裁が15年4月、大津地裁が16年3月と同7月にそれぞれ差し止める決定をした。いずれも地裁異議審や高裁抗告審で取り消された。
九州電力川内原発については、15年4月に鹿児島地裁が、16年4月に福岡高裁宮崎支部がいずれも差し止めの申し立てを退けた。