ベネズエラ、デノミ発表 通貨1000分の1に切り下げ
【サンパウロ=外山尚之】南米ベネズエラ政府は22日、デノミ(通貨単位の切り下げ)を実施すると発表した。ハイパーインフレが続くなか、通貨ボリバルの価値を1000分の1に切り下げる。2008年にも同様の措置を実施した。外貨不足やゆがんだ固定相場制などインフレの根本的な原因は取り除かれておらず、経済混乱が収束する可能性は低そうだ。
マドゥロ大統領は22日、新通貨「ボリバル・ソベラノ」を6月4日に導入すると発表した。現在流通している1000ボリバルを1ボリバル・ソベラノとして流通させる。
野党が多数を占める議会によると、2月時点でインフレ率は年率6000%を超え、年内に13万%を超える見込み。加速するインフレに紙幣の供給が追いつかず、ベネズエラ国内では貨幣経済が崩壊状態にある。
ベネズエラ政府は現在固定相場制を導入しているが、利用できるのは一部の特権階級に限られ、為替相場をゆがめている。一般市民が利用する闇市場での実勢レートをまとめるドラールトゥデイによると、22日午後8時(日本時間23日午前9時)時点で1ドル=23万ボリバル。昨年8月に制憲議会を発足させた直後に比べ、価値が12分の1以下になっている。