河井克行被告(左)と案里元参院議員

 2019年の参院選広島選挙区の大規模買収事件で、現金を受け取ったとされる広島県内の地方政治家40人を不起訴とした東京地検の処分を不服として、「地方議会をただす会」の藤岡圭二会長(78)=広島市東区=が15日までに、東京の検察審査会(検審)に審査を申し立てた。検審が「起訴相当」か「不起訴不当」を議決すれば地検は再捜査し、あらためて起訴か不起訴かを決める。

 <対象となった「被買収」の政治家40人>

 40人の内訳は参院選当時に現職だった首長2人▽広島県議14人▽広島市議13人▽その他の市町議11人。元法相の河井克行被告(58)=実刑判決を受けて控訴中=らから各10万~200万円を受領したとされるが、地検は6日、公選法違反(被買収)罪の成立を認定した上で、受動的な立場だったなどとして不起訴(起訴猶予)とした。

 克行被告は、この40人や後援会員ら計100人に各5万~300万円を渡したとされる。東京地検が当初、100人の刑事処分をしなかったため、藤岡会長が政治家の40人について告発した。地検が100人全員を不起訴にしたため、藤岡会長は告発した40人分の審査を求めて11日付で申立書を検審に郵送。14日に受理されたという。

 被買収罪の法定刑は3年以下の懲役か禁錮または50万円以下の罰金。政治家が起訴されて罰金刑以上が確定すると、公民権停止となって失職する。一方、地検が被買収者と認定した40人のうち県議や広島市議ら30人は事件発覚後、一度も辞職していない。

 藤岡会長は15日、県庁で記者会見した。「被買収者全員の不起訴は法の精神を無視した処分で、到底納得できない。40人は選挙で選ばれた政治家であり、即刻辞めてもらわないといけない」としている。

 今回の不起訴を巡っては100人全員を告発した市民団体「河井疑惑をただす会」もこの日、広島地検前で全員を起訴するよう訴えた。同会は100人の不起訴について近く検審に審査を申し立てる方針でいる。