台湾の初代総統、蔣介石のひ孫である蔣万安氏(43)が史上最年少で台北市長に当選した。民主化以降の歴代総統のうち3人が台北市長を経験しており、万安氏も将来の総統候補として中国国民党内での存在感を高めそうだ。
万安氏は26日夜、支持者らを前に「あなた方の神聖な投票によって民主が勝利した」と謝意を示した。
万安氏は台北市生まれ。父の孝厳氏は元総統、蔣経国の婚外子で、外交部長(外相に相当)などを歴任したエリートだ。
万安氏は米国で弁護士資格を取得した国際派。米ペンシルベニア大で法学博士を取得した。支持者の自営業女性(60)は「世界を見通す視野を持っている」と期待を込める。
万安氏の政策は国民党内で「中間派」(台湾の政治学者)とみられている。台湾で2019年に認められた同性婚を支持するなど、リベラル色の強さは民主進歩党とも共通点がある。
対中政策についても同年1月、台湾に一国二制度の受け入れを迫った中国の習近平国家主席に対し、呼びかけを拒否して台湾の自由と民主主義を尊重するよう求めた蔡英文総統の主張に賛同する考えを示した。(台北 西見由章)