伊勢参り 落語家 桂三枝
上方落語の代表的な旅の古典落語に「伊勢参宮神乃賑(いせさんぐうかみのにぎわい)」というのがある。通称「東の旅」。この噺(はなし)は大阪から伊勢神宮にお参りして帰ってくるまでの道中で起こる様々なエピソードを落語にした個々の作品の総称である。
私が五代目文枝に入門して最初に習ったのが「東の旅」の中の「煮売り屋」だった。
「お前の落語は素人口調やし、ぜんぜん旅の感じが出てない!」
と、師匠によく叱られ...
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。
残り477文字