本日、午後3時から、参議院議員会館会議室にて、佐藤正久氏宛の公開質問状,安部晋三氏宛の要望書及び小泉前内閣総理大臣宛の質問状を各氏に提出することについての記者会見をしました。【各書状については末尾に掲載】
各書面は、直接相手に届け膝詰めでやりとりもしたかったのですが、お盆時期でもありいずれも不在でしたので、本日郵送することにしました。回答期限は8月末日です。
記者会見には、弁護士3人で臨みました。これも急な日程だったので、都合の悪い方が多く残念でしたが、記者の方は25社ほど集まっていただけました。
たまたま大きなニュースともぶつからなかったようですが、少なくともこの問題が関心の高いものであったことは確かなようでした。
まず今回の発言の問題性について概略を説明したうえで、提出予定の書面の中身についてかいつまんでの説明をしました。
佐藤氏については、憲法9条のもとに厳格に定められた「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」の17条(武器の使用)について脱法の企図を明らかにしたものだから、それについての質問を行うものです。
小泉純一郎氏宛にも質問状を出すのは、佐藤氏の任命権者であって、当時どのような命令をしていたか、佐藤氏の発言をどう考えるか、(今回の発言は、現場での佐藤氏個人の考えや判断だったのか)といった点を明らかにしたいからです。
また、このような発言が厳格なシビリアンコントロールを受けるはずの自衛官としてあるまじきものであるし、(とりわけ集団的自衛権に関する政府の有識者会議が行われているこの時期に)国会議員の立場で、イラク現地での思いについて反省や問題意識を持つのでなく、むしろ確信犯的に発言したことについては、憲法尊重遵守義務に違反するとも考えられることから、安部氏には、議員辞職を勧告するように要望したのです。
更に、記者会見で付け加えたこととしては2点あります。
① 政府や自民党が「自衛軍を持ってもシビリアンコントロールがあるから」とい ってきたまやかしが明らかになったことの指摘。
自民党新憲法草案は、現行の9条2項(軍備の放棄交戦権の否認)を廃し9条の2を新設して、自衛軍の根拠規定としています。そして、9条の2の第2項「自衛軍は、‥法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する」とされ、「憲法上シビリアンコントロールが貫徹されているのだから、軍の暴走はない」と説明されています。しかしながら、これが嘘であることが明らかにな りました。現実に自衛軍を担うことになるだろう制服幹部の意識の実態は佐藤氏の発言に表れるとおりであって、シビリアンコントロールは、いとも簡単に破られるという危険な体質を暴露したものといわざるを得えません。
加えて、またこのような意味を持つ佐藤発言を、政府も自民党も、全く問題視しない態度は結局政府も自民党も本気でシビリアンコントロールを考えているのではないことが明らかになったわけです。
② マスコミの問題意識に対する疑問
マスコミがこの佐藤発言の問題性に気づいていたのかどうか(気づかないとすれば報道機関として論外であるが)。気づいていたとしたら、どうしてこの報道をTBS一社で終わらせて、各社がその問題性を取り上げないのか。このことを今日来られた報道機関各社に質問したいくらいだ、と訴えました。
どこからも、この質問に対して何の回答はありませんでした。
今回、賛同してくださった方の多くからも、このマスコミに対する疑問や憤り のメッセージがたくさん寄せられましたので、2,3披露しました。
なお、賛同者数は、募りだした8月15日の午後4時から16日午後1時締め切り(但し、時刻を過ぎても送ってこられた分は、賛同人の人数として反映できました)で、弁護士44名、弁護士以外103名の合計147名でした。
この件については、この後も賛同者を募っていきますので、コメントでも賛同をお寄せ下さい。お名前は必須、お立場、連絡先までありますとたすかります。賛同だけのコメントの場合には、コメントは公開しないようにします。
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公開質問状
2007年8月16日
参議院議員佐藤正久殿
私たちは、平和を希求し、あらゆる戦争を廃絶することを願っている市民の有志です。
貴殿は、集団的自衛権に関する政府の有識者懇談会に関するJNNの取材に対して、イラクに派遣された陸上自衛隊の指揮官だった立場から、当時現場では、事実上の「駆けつけ警護」を行う考えだったことを明かしました。
JNNの取材結果を伝えるTBSニュースによると、貴殿は、「自衛隊とオランダ軍が近くの地域で活動していたら、何らかの対応をやらなかったら、自衛隊に対する批判というものは、ものすごく出ると思います」と述べた上、もしオランダ軍が攻撃を受ければ、「情報収集の名目で現場に駆けつけ、あえて巻き込まれる」という状況を作り出すことで、憲法に違反しない形で警護するつもりだったと説明し、その理由として、「巻き込まれない限りは正当防衛・緊急避難の状況は作れませんから。目の前で苦しんでいる仲間がいる。普通に考えて手をさしのべるべきだという時は(警護に)行ったと思うんですけどね。その代わり、日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろうと」と発言しています。
上記報道が正しければ、貴殿の言う「巻き込まれる」行動は、外形的には、正当防衛・緊急避難の状況下での攻撃を導くものですが、それは意図的に緊急状態を作出したうえでの攻撃であり、実質的には、正当防衛・緊急避難の要件を満たさず、自衛隊法に違反するばかりか、憲法9条をないがしろにするうえ、自衛隊派遣の国会決定の意図を超えた行動を行うものでありシビリアンコントロールをも無視する許し難い行為というほかありません。
しかも、貴殿は、「日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろう」と発言しているとおり、貴殿は「巻き込まれる」行為が違法であることを認識しつつ、法を犯す決意でいたことは明白です。
そこで、貴殿に対し、次のとおり質問します。
1)TBSのニュースでの貴殿の発言は報道のとおりで間違いないでしょうか。
2)その場合、貴殿は、貴殿の予定していた「巻き込まれる」行動を現在でも肯定しますか。
3)なぜ、貴殿は、巻き込まれてまで攻撃しようとしたのですか?その狙いは端的に何なのでしょうか。
4)貴殿の予定していた「巻き込まれる」行動は、違憲違法なもので、シビリアンコントロールにも反するものだと思われますが、貴殿は違憲違法なもの、シビリアンコントロールに反するものだと考えますか。考えないという場合、その根拠をお示し下さい。
5)貴殿は、国会議員として、自衛隊が海外に派遣された場合、今後も、「巻き込まれる」行動をとることに賛成しますか。
6)「巻き込まれる」行動によって攻撃を開始すれば、当然、貴殿の部下の生命が危険にさらされることになりますが、自衛隊法に違反してまで、現地の部隊長の判断で部下の生命を危険にさらす行為について、貴殿は肯定されるのですか。
7)満州事変のきっかけとなった柳条湖事件は、旧日本軍の関東軍が自ら南満州鉄道の線路を爆破しながら、中国側の犯行だとして、中国東北地方の占領を開始する口実としたものですが、貴殿の予定していた「巻き込まれる」行動は、まさに柳条湖事件を彷彿させます。貴殿は、柳条湖事件の関東軍の暴走についていかに評価しますか。
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公開質問状
2007年8月16日
前内閣総理大臣小泉純一郎殿
私たちは、平和を希求し、あらゆる戦争を廃絶することを願っている市民の有志です。
貴殿は、自衛隊のイラク派遣を決定した内閣総理大臣としてその責任を負う立場にありますが、イラク派遣の先遣隊長・第一次復興業務支援隊長を務めた佐藤正久氏は、先頃、下記のとおり、JNNの取材に対し、イラクでは、シビリアンコントロールを無視して違憲・違法な行為を行うつもりだった、すなわち、もしオランダ軍が攻撃を受ければ、「情報収集の名目で現場に駆けつけ、あえて巻き込まれる」という状況を作り出すことで、憲法に違反しない形で警護するつもりだった旨発言しました。
佐藤正久氏を隊長とする部隊がイラクに派遣された際、部隊の編成母体となった北部方面隊派遣部隊の準備訓練では、「武器使用の権限」と題する文書に基づいて、「武器を使用する事についての積極的な意思がなければ、武器を持って救助に駆けつける事はかまわない」というルールに則って訓練が行われたとされています。
すなわち、そのルールとは、①武器を持ってまず救助現場へ駆けつける、②それまでは武器を使用しない、③現場へ駆けつけてから(当然)攻撃を受けるから、そのときになって武器を使用する、というものだったとされています。
このルールは、今回の佐藤正久発言と符合するものです。
そこで、貴殿に対し、以下の通り質問します。
1)貴殿は、直接または間接に佐藤正久氏に対して「巻き込まれる」行動を行うよう命じていたのでしょうか。あるいは、少なくとも、佐藤正久氏が「巻き込まれる」行動を行うことを認識していたのでしょうか。
2)貴殿は、 佐藤正久氏が予定していた「巻き込まれる」行動を肯定しますか。
3)佐藤正久氏の予定していた「巻き込まれる」行動は、違憲違法なもので、シビリアンコントロールにも反するものだと思われますが、貴殿は違憲違法なもの、シビリアンコントロールに反するものだと考えますか。考えないという場合、その根拠をお示し下さい。
4)佐藤正久氏は、自民党推薦で国会議員となりましたが、国会議員が今回のような発言をすることについていかなる見解をお持ちですか。
5)貴殿は、自衛隊が海外に派遣された場合、今後も、「巻き込まれる」行動をとることに賛成しますか。
記
「駆けつけ警護」認めるべきで一致(TBS News:動画あり、2007.8.10)
集団的自衛権に関する政府の有識者会合はPKO=国連平和維持活動を行う自衛隊に対して、憲法上できないとしてきた「駆けつけ警護」を認めるべきだ、という意見で一致しました。
PKO活動の際の武器使用は、正当防衛や緊急避難などの場合に限られていますが、10日の会議では国連の集団安全保障の問題としてとらえるべきだとする意見で一致しました。
その上で、正当防衛を超えるとして憲法違反とされるいわゆる「駆けつけ警護」は認めるべきだとする意見が相次ぎました。これは、味方である他国の軍隊が攻撃された場合、駆けつけて応戦するものです。
こうした事例について、イラクに派遣された陸上自衛隊の指揮官だった佐藤正久氏は、当時現場では、事実上の「駆けつけ警護」を行う考えだったことをJNNの取材に対して明かしました。
「自衛隊とオランダ軍が近くの地域で活動していたら、何らかの対応をやらなかったら、自衛隊に対する批判というものは、ものすごく出ると思います」(元イラク先遣隊長 佐藤正久・参院議員)
佐藤氏は、もしオランダ軍が攻撃を受ければ、「情報収集の名目で現場に駆けつけ、あえて巻き込まれる」という状況を作り出すことで、憲法に違反しない形で警護するつもりだったといいます。
「巻き込まれない限りは正当防衛・緊急避難の状況は作れませんから。目の前で苦しんでいる仲間がいる。普通に考えて手をさしのべるべきだという時は(警護に)行ったと思うんですけどね。その代わり、日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろうと」(元イラク先遣隊長 佐藤正久・参院議員)
懇談会は11月までに集団的自衛権の行使を容認する提言をとりまとめると見られます。しかし、公明党が反対している上、参院選の惨敗で安倍総理の求心力が低下しており、報告書は棚上げせざるを得ないという見方が強まっています。
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要望書
自民党総裁安倍晋三殿
私たちは、平和を希求し、あらゆる戦争を廃絶することを願っている市民の有志です。
貴殿は、自民党総裁として、自衛隊イラク派遣先遣隊長・第一次復興業務支援隊長を務
めた佐藤正久氏を参議院議員候補者として推薦し、同氏は参議院議員として当選しました。
ところが、同氏は、参議院議員として登院早々、下記のとおり、JNNの取材に対し、イラクでは、シビリアンコントロールを無視して違憲・違法な行為を行うつもりだった旨発言しました。
この発言は、厳格なシビリアンコントロールに服すべき自衛官としてあるまじきものであり、国政に関与する議員の発言としてはなおさら許し難いものであって、貴殿におかれましては、同氏に対し、直ちに議員辞職を勧告するよう要望いたします。
なお、貴殿が佐藤氏に対して辞職を勧告しない場合には、貴殿及び自民党は、佐藤氏の発言を肯定的に評価していると考えざるを得ません。そのことは、貴殿及び自民党が現場の自衛隊にシビリアンコントロールを無視されても構わないと考えていることを意味することになります。もし、貴殿及び自民党がそのように考えているのであれば、それは非常に恐ろしい考え方であり、私たちは貴殿及び自民党の考え方について国内外の世論に訴えていく所存です。
また、佐藤正久議員に宛てた公開質問状を同封しますので、同質問状記載の質問事項をよくご検討の上、ご判断いただきたいと存じます。
記
「駆けつけ警護」認めるべきで一致(TBS News:動画あり、2007.8.10)
集団的自衛権に関する政府の有識者会合はPKO=国連平和維持活動を行う自衛隊に対して、憲法上できないとしてきた「駆けつけ警護」を認めるべきだ、という意見で一致しました。
PKO活動の際の武器使用は、正当防衛や緊急避難などの場合に限られていますが、10日の会議では国連の集団安全保障の問題としてとらえるべきだとする意見で一致しました。
その上で、正当防衛を超えるとして憲法違反とされるいわゆる「駆けつけ警護」は認めるべきだとする意見が相次ぎました。これは、味方である他国の軍隊が攻撃された場合、駆けつけて応戦するものです。
こうした事例について、イラクに派遣された陸上自衛隊の指揮官だった佐藤正久氏は、当時現場では、事実上の「駆けつけ警護」を行う考えだったことをJNNの取材に対して明かしました。
「自衛隊とオランダ軍が近くの地域で活動していたら、何らかの対応をやらなかったら、自衛隊に対する批判というものは、ものすごく出ると思います」(元イラク先遣隊長 佐藤正久・参院議員)
佐藤氏は、もしオランダ軍が攻撃を受ければ、「情報収集の名目で現場に駆けつけ、あえて巻き込まれる」という状況を作り出すことで、憲法に違反しない形で警護するつもりだったといいます。
「巻き込まれない限りは正当防衛・緊急避難の状況は作れませんから。目の前で苦しんでいる仲間がいる。普通に考えて手をさしのべるべきだという時は(警護に)行ったと思うんですけどね。その代わり、日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろうと」(元イラク先遣隊長 佐藤正久・参院議員)
懇談会は11月までに集団的自衛権の行使を容認する提言をとりまとめると見られます。しかし、公明党が反対している上、参院選の惨敗で安倍総理の求心力が低下しており、報告書は棚上げせざるを得ないという見方が強まっています。
各書面は、直接相手に届け膝詰めでやりとりもしたかったのですが、お盆時期でもありいずれも不在でしたので、本日郵送することにしました。回答期限は8月末日です。
記者会見には、弁護士3人で臨みました。これも急な日程だったので、都合の悪い方が多く残念でしたが、記者の方は25社ほど集まっていただけました。
たまたま大きなニュースともぶつからなかったようですが、少なくともこの問題が関心の高いものであったことは確かなようでした。
まず今回の発言の問題性について概略を説明したうえで、提出予定の書面の中身についてかいつまんでの説明をしました。
佐藤氏については、憲法9条のもとに厳格に定められた「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」の17条(武器の使用)について脱法の企図を明らかにしたものだから、それについての質問を行うものです。
小泉純一郎氏宛にも質問状を出すのは、佐藤氏の任命権者であって、当時どのような命令をしていたか、佐藤氏の発言をどう考えるか、(今回の発言は、現場での佐藤氏個人の考えや判断だったのか)といった点を明らかにしたいからです。
また、このような発言が厳格なシビリアンコントロールを受けるはずの自衛官としてあるまじきものであるし、(とりわけ集団的自衛権に関する政府の有識者会議が行われているこの時期に)国会議員の立場で、イラク現地での思いについて反省や問題意識を持つのでなく、むしろ確信犯的に発言したことについては、憲法尊重遵守義務に違反するとも考えられることから、安部氏には、議員辞職を勧告するように要望したのです。
更に、記者会見で付け加えたこととしては2点あります。
① 政府や自民党が「自衛軍を持ってもシビリアンコントロールがあるから」とい ってきたまやかしが明らかになったことの指摘。
自民党新憲法草案は、現行の9条2項(軍備の放棄交戦権の否認)を廃し9条の2を新設して、自衛軍の根拠規定としています。そして、9条の2の第2項「自衛軍は、‥法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する」とされ、「憲法上シビリアンコントロールが貫徹されているのだから、軍の暴走はない」と説明されています。しかしながら、これが嘘であることが明らかにな りました。現実に自衛軍を担うことになるだろう制服幹部の意識の実態は佐藤氏の発言に表れるとおりであって、シビリアンコントロールは、いとも簡単に破られるという危険な体質を暴露したものといわざるを得えません。
加えて、またこのような意味を持つ佐藤発言を、政府も自民党も、全く問題視しない態度は結局政府も自民党も本気でシビリアンコントロールを考えているのではないことが明らかになったわけです。
② マスコミの問題意識に対する疑問
マスコミがこの佐藤発言の問題性に気づいていたのかどうか(気づかないとすれば報道機関として論外であるが)。気づいていたとしたら、どうしてこの報道をTBS一社で終わらせて、各社がその問題性を取り上げないのか。このことを今日来られた報道機関各社に質問したいくらいだ、と訴えました。
どこからも、この質問に対して何の回答はありませんでした。
今回、賛同してくださった方の多くからも、このマスコミに対する疑問や憤り のメッセージがたくさん寄せられましたので、2,3披露しました。
なお、賛同者数は、募りだした8月15日の午後4時から16日午後1時締め切り(但し、時刻を過ぎても送ってこられた分は、賛同人の人数として反映できました)で、弁護士44名、弁護士以外103名の合計147名でした。
この件については、この後も賛同者を募っていきますので、コメントでも賛同をお寄せ下さい。お名前は必須、お立場、連絡先までありますとたすかります。賛同だけのコメントの場合には、コメントは公開しないようにします。
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公開質問状
2007年8月16日
参議院議員佐藤正久殿
私たちは、平和を希求し、あらゆる戦争を廃絶することを願っている市民の有志です。
貴殿は、集団的自衛権に関する政府の有識者懇談会に関するJNNの取材に対して、イラクに派遣された陸上自衛隊の指揮官だった立場から、当時現場では、事実上の「駆けつけ警護」を行う考えだったことを明かしました。
JNNの取材結果を伝えるTBSニュースによると、貴殿は、「自衛隊とオランダ軍が近くの地域で活動していたら、何らかの対応をやらなかったら、自衛隊に対する批判というものは、ものすごく出ると思います」と述べた上、もしオランダ軍が攻撃を受ければ、「情報収集の名目で現場に駆けつけ、あえて巻き込まれる」という状況を作り出すことで、憲法に違反しない形で警護するつもりだったと説明し、その理由として、「巻き込まれない限りは正当防衛・緊急避難の状況は作れませんから。目の前で苦しんでいる仲間がいる。普通に考えて手をさしのべるべきだという時は(警護に)行ったと思うんですけどね。その代わり、日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろうと」と発言しています。
上記報道が正しければ、貴殿の言う「巻き込まれる」行動は、外形的には、正当防衛・緊急避難の状況下での攻撃を導くものですが、それは意図的に緊急状態を作出したうえでの攻撃であり、実質的には、正当防衛・緊急避難の要件を満たさず、自衛隊法に違反するばかりか、憲法9条をないがしろにするうえ、自衛隊派遣の国会決定の意図を超えた行動を行うものでありシビリアンコントロールをも無視する許し難い行為というほかありません。
しかも、貴殿は、「日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろう」と発言しているとおり、貴殿は「巻き込まれる」行為が違法であることを認識しつつ、法を犯す決意でいたことは明白です。
そこで、貴殿に対し、次のとおり質問します。
1)TBSのニュースでの貴殿の発言は報道のとおりで間違いないでしょうか。
2)その場合、貴殿は、貴殿の予定していた「巻き込まれる」行動を現在でも肯定しますか。
3)なぜ、貴殿は、巻き込まれてまで攻撃しようとしたのですか?その狙いは端的に何なのでしょうか。
4)貴殿の予定していた「巻き込まれる」行動は、違憲違法なもので、シビリアンコントロールにも反するものだと思われますが、貴殿は違憲違法なもの、シビリアンコントロールに反するものだと考えますか。考えないという場合、その根拠をお示し下さい。
5)貴殿は、国会議員として、自衛隊が海外に派遣された場合、今後も、「巻き込まれる」行動をとることに賛成しますか。
6)「巻き込まれる」行動によって攻撃を開始すれば、当然、貴殿の部下の生命が危険にさらされることになりますが、自衛隊法に違反してまで、現地の部隊長の判断で部下の生命を危険にさらす行為について、貴殿は肯定されるのですか。
7)満州事変のきっかけとなった柳条湖事件は、旧日本軍の関東軍が自ら南満州鉄道の線路を爆破しながら、中国側の犯行だとして、中国東北地方の占領を開始する口実としたものですが、貴殿の予定していた「巻き込まれる」行動は、まさに柳条湖事件を彷彿させます。貴殿は、柳条湖事件の関東軍の暴走についていかに評価しますか。
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公開質問状
2007年8月16日
前内閣総理大臣小泉純一郎殿
私たちは、平和を希求し、あらゆる戦争を廃絶することを願っている市民の有志です。
貴殿は、自衛隊のイラク派遣を決定した内閣総理大臣としてその責任を負う立場にありますが、イラク派遣の先遣隊長・第一次復興業務支援隊長を務めた佐藤正久氏は、先頃、下記のとおり、JNNの取材に対し、イラクでは、シビリアンコントロールを無視して違憲・違法な行為を行うつもりだった、すなわち、もしオランダ軍が攻撃を受ければ、「情報収集の名目で現場に駆けつけ、あえて巻き込まれる」という状況を作り出すことで、憲法に違反しない形で警護するつもりだった旨発言しました。
佐藤正久氏を隊長とする部隊がイラクに派遣された際、部隊の編成母体となった北部方面隊派遣部隊の準備訓練では、「武器使用の権限」と題する文書に基づいて、「武器を使用する事についての積極的な意思がなければ、武器を持って救助に駆けつける事はかまわない」というルールに則って訓練が行われたとされています。
すなわち、そのルールとは、①武器を持ってまず救助現場へ駆けつける、②それまでは武器を使用しない、③現場へ駆けつけてから(当然)攻撃を受けるから、そのときになって武器を使用する、というものだったとされています。
このルールは、今回の佐藤正久発言と符合するものです。
そこで、貴殿に対し、以下の通り質問します。
1)貴殿は、直接または間接に佐藤正久氏に対して「巻き込まれる」行動を行うよう命じていたのでしょうか。あるいは、少なくとも、佐藤正久氏が「巻き込まれる」行動を行うことを認識していたのでしょうか。
2)貴殿は、 佐藤正久氏が予定していた「巻き込まれる」行動を肯定しますか。
3)佐藤正久氏の予定していた「巻き込まれる」行動は、違憲違法なもので、シビリアンコントロールにも反するものだと思われますが、貴殿は違憲違法なもの、シビリアンコントロールに反するものだと考えますか。考えないという場合、その根拠をお示し下さい。
4)佐藤正久氏は、自民党推薦で国会議員となりましたが、国会議員が今回のような発言をすることについていかなる見解をお持ちですか。
5)貴殿は、自衛隊が海外に派遣された場合、今後も、「巻き込まれる」行動をとることに賛成しますか。
記
「駆けつけ警護」認めるべきで一致(TBS News:動画あり、2007.8.10)
集団的自衛権に関する政府の有識者会合はPKO=国連平和維持活動を行う自衛隊に対して、憲法上できないとしてきた「駆けつけ警護」を認めるべきだ、という意見で一致しました。
PKO活動の際の武器使用は、正当防衛や緊急避難などの場合に限られていますが、10日の会議では国連の集団安全保障の問題としてとらえるべきだとする意見で一致しました。
その上で、正当防衛を超えるとして憲法違反とされるいわゆる「駆けつけ警護」は認めるべきだとする意見が相次ぎました。これは、味方である他国の軍隊が攻撃された場合、駆けつけて応戦するものです。
こうした事例について、イラクに派遣された陸上自衛隊の指揮官だった佐藤正久氏は、当時現場では、事実上の「駆けつけ警護」を行う考えだったことをJNNの取材に対して明かしました。
「自衛隊とオランダ軍が近くの地域で活動していたら、何らかの対応をやらなかったら、自衛隊に対する批判というものは、ものすごく出ると思います」(元イラク先遣隊長 佐藤正久・参院議員)
佐藤氏は、もしオランダ軍が攻撃を受ければ、「情報収集の名目で現場に駆けつけ、あえて巻き込まれる」という状況を作り出すことで、憲法に違反しない形で警護するつもりだったといいます。
「巻き込まれない限りは正当防衛・緊急避難の状況は作れませんから。目の前で苦しんでいる仲間がいる。普通に考えて手をさしのべるべきだという時は(警護に)行ったと思うんですけどね。その代わり、日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろうと」(元イラク先遣隊長 佐藤正久・参院議員)
懇談会は11月までに集団的自衛権の行使を容認する提言をとりまとめると見られます。しかし、公明党が反対している上、参院選の惨敗で安倍総理の求心力が低下しており、報告書は棚上げせざるを得ないという見方が強まっています。
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要望書
自民党総裁安倍晋三殿
私たちは、平和を希求し、あらゆる戦争を廃絶することを願っている市民の有志です。
貴殿は、自民党総裁として、自衛隊イラク派遣先遣隊長・第一次復興業務支援隊長を務
めた佐藤正久氏を参議院議員候補者として推薦し、同氏は参議院議員として当選しました。
ところが、同氏は、参議院議員として登院早々、下記のとおり、JNNの取材に対し、イラクでは、シビリアンコントロールを無視して違憲・違法な行為を行うつもりだった旨発言しました。
この発言は、厳格なシビリアンコントロールに服すべき自衛官としてあるまじきものであり、国政に関与する議員の発言としてはなおさら許し難いものであって、貴殿におかれましては、同氏に対し、直ちに議員辞職を勧告するよう要望いたします。
なお、貴殿が佐藤氏に対して辞職を勧告しない場合には、貴殿及び自民党は、佐藤氏の発言を肯定的に評価していると考えざるを得ません。そのことは、貴殿及び自民党が現場の自衛隊にシビリアンコントロールを無視されても構わないと考えていることを意味することになります。もし、貴殿及び自民党がそのように考えているのであれば、それは非常に恐ろしい考え方であり、私たちは貴殿及び自民党の考え方について国内外の世論に訴えていく所存です。
また、佐藤正久議員に宛てた公開質問状を同封しますので、同質問状記載の質問事項をよくご検討の上、ご判断いただきたいと存じます。
記
「駆けつけ警護」認めるべきで一致(TBS News:動画あり、2007.8.10)
集団的自衛権に関する政府の有識者会合はPKO=国連平和維持活動を行う自衛隊に対して、憲法上できないとしてきた「駆けつけ警護」を認めるべきだ、という意見で一致しました。
PKO活動の際の武器使用は、正当防衛や緊急避難などの場合に限られていますが、10日の会議では国連の集団安全保障の問題としてとらえるべきだとする意見で一致しました。
その上で、正当防衛を超えるとして憲法違反とされるいわゆる「駆けつけ警護」は認めるべきだとする意見が相次ぎました。これは、味方である他国の軍隊が攻撃された場合、駆けつけて応戦するものです。
こうした事例について、イラクに派遣された陸上自衛隊の指揮官だった佐藤正久氏は、当時現場では、事実上の「駆けつけ警護」を行う考えだったことをJNNの取材に対して明かしました。
「自衛隊とオランダ軍が近くの地域で活動していたら、何らかの対応をやらなかったら、自衛隊に対する批判というものは、ものすごく出ると思います」(元イラク先遣隊長 佐藤正久・参院議員)
佐藤氏は、もしオランダ軍が攻撃を受ければ、「情報収集の名目で現場に駆けつけ、あえて巻き込まれる」という状況を作り出すことで、憲法に違反しない形で警護するつもりだったといいます。
「巻き込まれない限りは正当防衛・緊急避難の状況は作れませんから。目の前で苦しんでいる仲間がいる。普通に考えて手をさしのべるべきだという時は(警護に)行ったと思うんですけどね。その代わり、日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろうと」(元イラク先遣隊長 佐藤正久・参院議員)
懇談会は11月までに集団的自衛権の行使を容認する提言をとりまとめると見られます。しかし、公明党が反対している上、参院選の惨敗で安倍総理の求心力が低下しており、報告書は棚上げせざるを得ないという見方が強まっています。
今晩から明朝の報道に期待します。
関東軍の柳条湖事件を思い出しました。
まさによみがえる関東軍の亡霊です。
軍人の放言と暴走を許してはなりません。
国会で、自衛隊幹部を証人(参考人)に読んで事実関係の究明と、佐藤正久元一等陸佐の考え方は軍事規律にも反する考えであり、それに基づく行動は犯罪行為であることを明言させなければなりません。
ヤメ蚊さん→News for the People→ここという順でここに着きました。
昨晩賛同させていただきましたので、今日の記者会見はどうだったのか気になっていました。
記者会見に集まったマスコミが25社ということでしたが、数も大切ですが質もですよね。どこの社が集まったかは公開できないものですか?
なぜこの件の問題性を取り上げないのか集まった報道機関に質問したいぐらいだと訴えられたことに対し、何の回答も得られなかったというところが引っかかりました。何か暖簾に腕押しみたいで。
いろいろな記者会見を開く機会がおありと思いますし、今日もいくらなんでも多少の質疑応答があったと想像していますが、開催側が説明して集まったメディアが受身で臨むという方法ではなく、ディベートに引きずり込むような記者会見は日本では不可能なのでしょうか。ディベートが国技のような某国に長くいたので、失礼を省みずに言うと、歯がゆいです。
今のところ今日の会見が記事になったのは一社のようで、これから記事を書くところが出てくるか注目されますが、記事にした記者と話す機会を設けるとかこれからが大事かと思います。
不躾な文を書きましたことをお許しください。
水口さん、賛同人に加えさせていただきます。
国会の中で証人を呼んで事実を明らかにしていけるかは、民主党の真価を明らかにしていくことになります。これも声を挙げていかなければならないということですね。
Ametsさん、「記者会見がディベート!」初めて聞きましたけど、おもしろいですね。
今日本では報道機関がその存在意義を果たしていないと思います。市民の記者会見の場で、マスコミともっと関わっていくことは、マスコミを変える、刺激を与える意味でもすごくいいことですよね。
今度、ぜひ、チャレンジしてみたいです。
たぶん、自らの立場をどこに置けばいいかわからないのでしょう。
だけど黙っていれば認めることになり、今後もこのようなことが続くことになります。
あまりにも危険な話なので、少しでも多くの人に伝えたいですね!
このような自民党元軍人政治家を産んだのは、紛れもなく居座り総理=安部晋三であります。
安部総理は先日広島で憲法遵守を口にしたそうですが、あえて脱法・反憲法を口にするこのような参議院議員を容認するならば、また一つ安部総理は汚点をかかえることになることを自覚すべきだ。
平塚市・原田伊三郎
(全野党と市民の共闘会議・世直し老人党)
>正当防衛・緊急避難の状況下での攻撃を導くものですが、それは意図的に緊急状態を作出したうえでの攻撃であり、実質的には、正当防衛・緊急避難の要件を満たさず、(以下、略)
意図的にというが、「意図的に作ってはならない」という法律の条文か命令でもあるのでしょうか。先に「脱法」という正規の法律用語によらない主張を批判致しましたが、ここでも「実質的に」という文言を使用して、第三者を納得させ得る法的解釈を省略しております。
また、軍事的に「攻撃」と「武器使用」は、全然異なる概念ですので、この点にも疑義を指摘せざるを得ません。
また、柳条湖事件とは、法的には要するに張作霖及びその随員等に対する殺人事件に過ぎません(旧陸軍法務官から教えられたことです。)。当時、国家の認識としては、あくまで自衛の行動の行動でした。ただ、戦後になって東京裁判において田中隆吉が証言したため、関東軍の一部参謀による工作であることが露見しましたが、柳条湖事件だけ見れば単なる刑事事件の域を出ません。あくまで憲法・法律と整合した行動を追求しようとした本件とは、本質を全く異にしております。
歴史的事件を引き合いに出すのは御自由ですが、もう少し歴史を勉強してから出された方が、関係者の名誉のためになると思います。
私は団塊世代と杉浦様の間の世代なのですが、何しろ日本的な常識の通じないところに10余年いたので少し(又はかなり)在野なのですが、今日もこの問題を考えていました。
昨日は志位さん、福島さん、保坂さんあたりがこの件で何か言ってないか調べていたんですが、どうも反応が遅く気がかりです。次にやることは自民党以外のすべての党に、この件についてどんな問題意識を持つかの問いかけでしょうか?
秋の国会での審議のために国会議員に勉強してもらわなくては。
天木氏のブログによると、テレビ朝日も報道したようですが、記事にしたところには更なる調査報道をしてもらって、特集記事を組むよう働きかけ、大手のところで無視をしたところには政治部長宛に公開質問状でしょうか。
集団的自衛権、アフガンガソリンスタンド特別措置法、イラクタクシー特別措置法が何のことやらわかってない国民がまだまだ多いようなので、根源からキャンペーンが必要でしょう。
今日天木氏が国連のPKO部隊と国際治安支援部隊(ISAF)の違いを説明していました。同盟軍の支援で部隊を出すこと、同盟軍の後方支援、PKO、治安支援部隊、これらのいずれかに自衛隊が参加すると、それぞれどういうことになるのか、政府には説明義務があると思います。
ちなみに私がいた某国は同盟軍としてイラクにいた部隊は早々撤退しましたが、バルカンにPKOがいますし、アフガンやレバノンにNATOの一員としてISAFがいて、最近も自爆テロで7人とかがやられました。輸送機、ヘリコプターの墜落も含め、両国で100人近くが死んでいます。
長文失礼いたしました。暑さの折お体ご自愛ください。
なぜ、違法性がなくなるかといえば、緊急であってその法益を守るためにそのことを行うことがやむをえないからです。
今回の未遂行為についていうと、「自ら巻き込まれる」という自招危難です。つまり、やむをえなくないわけです。
ですから、正当防衛や緊急避難には当たらない。
ただ、形の上でその形態を借りようとしていたということで、実質的にとか脱法とかいう言葉を使ったのです。
説明を求めるというのもいいと思います。誰が、どんな形で出していくかも重要ですし、マスコミに取り上げてもらいながらやっていくことも必要です。
弁護士仲間でもいろいろ考えていますが、しっかり参考にさせていただきます。
ありがとうございました。