トランプ氏、GMへの補助金停止を検討 リストラに反発
【ワシントン=鳳山太成】トランプ米大統領は27日、米ゼネラル・モーターズ(GM)に対し、電気自動車を含むすべての政府補助金の停止を検討していると明らかにした。国内工場で生産を止めるリストラ計画を発表したことに反発した。具体的に政府支援をどう打ち切るかは不明だが、企業に直接「脅し」をかけて公約の雇用創出を訴えるねらいがあるとみられる。
トランプ氏はツイッターでGMが米国3州の工場を止めることに「とても失望した」と述べ、補助金停止に言及した。米政府が経営破綻したGMに公的資金を注入した過去の経緯にも触れ「米国はGMを救った。これが我々が受け取るお礼だ!」と皮肉を込めながら怒りをあらわにした。
さらにリストラ対象にメキシコや中国の工場が含まれていないと指摘し「GMは数年前に中国工場の建設で大きな賭けをしたが、うまくいくとは思わない。私は米国の労働者を守るためにいる!」と批判した。
トランプ氏が何の補助金を念頭に置いているのかは不明だ。米メディアによると、消費者は電気自動車の購入で7500ドル(約85万円)の税額控除を受けられるが、GMはメーカー当たり20万台の枠に近く到達し、19年以降は控除額が縮小する見通しだという。
GMは27日、「米国生産で強い存在感を保ち続けることを約束する」との声明を発表した。「多くの労働者が成長に必要な他工場に移る機会がある」と釈明。「米政権が自動車業界を代表して米国の製造業の競争力を引き上げるために行動してきたことに感謝する」とトランプ氏に配慮した文言も付け加えた。
トランプ氏は26日にも、メアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)に不満を直接伝えたと明らかにしたうえで「オハイオ州にすぐ戻ってきたほうがいい」と国内への投資を要求していた。
さらにGMがリストラに踏み切る理由として「関税とは関係ない。車が売れていないからだ」と強調し、トランプ政権による鉄鋼やアルミニウムなどへの追加関税が生産コストを上昇させてGMの業績悪化につながったとの見方を否定した。
トランプ氏はこれまでも鉄鋼関税により国外への生産移転を表明した二輪大手のハーレーダビッドソンを批判するなど、企業への露骨な介入を繰り返してきた。
ドナルド・トランプ元アメリカ大統領に関する最新ニュースを紹介します。11月の米大統領選挙で共和党の候補者として、バイデン大統領と再び対決します。「もしトラ」の世界はどうなるのか、など解説します。