藤織りの伝承背景紹介 宮津の旅館で「きざはし会展」 京都

 京都市内の染織家らの作品を宮津市魚屋の旅館で展示している「第10回 きざはし会展」の会場で29日、丹後藤織り保存会会長の井之本泰さん(65)=宮津市上世屋=が講演、府の無形民俗文化財に指定されている「丹後の藤織り」について解説した。

 藤織りは、山に自生するフジのつるの皮をはいで、糸をつくり、織った織物。江戸時代の中ごろに木綿が普及するまで各地で作られており、綿の栽培ができなかった山間地では明治・大正期に入っても藤織りが行われていた。

 井之本さんは府立丹後郷土資料館に勤めていた昭和55年ごろに、藤織りと出合った経緯から話し、上世屋の女性が現在の与謝野町にちりめんの織り手などとして奉公していたことから来る技術的な背景や、優れた材料がある自然環境的な背景があったことから藤織りが伝えられてきたと解説。

 「自然環境を含めての背景があって藤織りが支えられてきた。これをどうやって次に伝えていくかが大きな課題」などと話した。

 「きざはし会展」はものづくりの階段(きざはし)を一歩ずつのぼっていきたいとの思いで平成20年から毎年、宮津市の旅館で開かれており、今年で10年目を迎えた。今回の展覧会では、京都市内の染織家ら4人が11点の着物や帯を展示している。31日まで。

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