上海協力機構、MD強化の米を牽制 イランもオブザーバー参加

 【モスクワ=小野田雄一】中国とロシア、インド、パキスタンと中央アジア4カ国で構成する上海協力機構(SCO)は14日、キルギスの首都ビシケクで首脳会議を行い、共同宣言を採択した。宣言は名指しを避けつつも、「一方的なミサイル防衛(MD)システム強化は国際安全保障に損害をもたらす」と米国を牽制(けんせい)した。米国と対立を深める中露両国は、インドを含むSCOの結束を誇示した形だ。

 オブザーバー国であるイランのロウハニ大統領も首脳会議に参加。ロウハニ師は、米国がイラン核合意から離脱したことを非難し、他の当事国が合意内容を履行するよう訴えた。ロウハニ師は「イランで活動するSCO諸国の企業にはあらゆる特恵を与える用意がある」とも述べた。

 新華社通信によると、中国の習近平国家主席はロウハニ師と個別会談し、両国が全面的に関係を強化することで一致した。ロウハニ師は中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に積極的に参画する考えを示した。

 首脳会議の共同宣言には、ロシアとイラン、トルコによるシリア和平協議の枠組みを評価し、アフガニスタン情勢の早期安定化を目指すとの内容も盛り込まれた。

 プーチン露大統領は13日にインドのモディ首相と個別会談し、両国関係を深めていくことを確認。米国務省は同日、インドがロシアの最新鋭地対空ミサイル「S400」購入契約を撤回するよう改めて求めた。

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