井筒屋、コレットなど3店閉鎖へ 営業不振、賃料重く
百貨店の井筒屋は31日、北九州市の商業施設「コレット」と黒崎店、宇部店(山口県宇部市)を来春にかけて順次閉鎖すると発表した。長引く営業不振に加え、賃料や修繕費の負担が重く、立て直しが難しいと判断した。今後は本店(北九州市)と山口店(山口市)に経営資源を集中するが、前途は厳しい。
2018年12月末に宇部店、19年2月末にコレット、19年5月末に黒崎店の営業を終了する。関連の特別損失34億円を18年3~8月期に計上するが、従業員の早期退職費用などは試算できておらず、損失額は今後膨らむ可能性が大きい。
同日記者会見した影山英雄社長は「現状では厳しい経営局面を迎える。自己資金で投資できる店の規模にするしかない」と述べた。経営責任については「今後の形を定めるまでやり遂げたい」と明言を避けた。北九州銀行など取引行に債務免除などを求めておらず、提携スポンサーも「交渉していない」という。
3店閉鎖による営業損益ベースの改善効果は3億円程度の見通し。3店の18年2月期売上高は計260億円で、全社売上高の3分の1を失う格好だ。ブランド誘致や仕入れ交渉で一段と厳しくなるのは避けられない。
シニア層が主力の同社にとって、店舗閉鎖は周辺の顧客離れに直結する。黒崎店はかつての黒崎そごう、コレットは小倉伊勢丹の撤退後に進出した。大手が運営に苦しんだ店舗を自社の商圏防衛や地元からの強い要請のため引き継いだものの、目立った集客や賃料引き下げには至らなかった。
井筒屋は商都・小倉に「昭和になっても百貨店がない」ことに発奮した有志が1935年に創設。最盛期の79年には博多など9店舗で売上高2千億円超の九州一の百貨店グループだった。18年2月期連結決算で売上高は783億円と9期連続減、純利益は土地売却益などで6億7500万円と2期ぶり増だった。
地元経済界からは「スペースワールド閉園に続く打撃だ。小倉駅前のコレットは後継事業者を探しやすいが、黒崎店は厳しいかもしれない」との声が漏れる。北橋健治北九州市長は「大変残念。小倉、黒崎両地区の商業の中核施設であり、関係機関や建物所有者(北九州都心開発、メイト黒崎)と情報交換していきたい」とのコメントを発表した。(山根清志)