東京海上、主導的役割認める 損保4社「価格調整」

東京海上日動火災の本社ビル=東京都千代田区(寺河内美奈撮影)
東京海上日動火災の本社ビル=東京都千代田区(寺河内美奈撮影)

東京海上日動火災保険など大手損害保険4社が、私鉄大手の東急グループ向けの火災保険料で事前に価格調整を図ったとされる問題で、東京海上は20日、同社の社員が保険料の調整行為を主導していたことを明らかにした。独占禁止法違反の恐れがあるカルテルを結んだとして、近く公正取引委員会に報告する。

関係者によると、4社は東京海上のほか損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険。東急向けの保険は4社が分担して引き受ける共同保険で、東京海上は主幹事を務める。金融庁は4社に対し、契約で事前に価格調整をした疑いがあるとして報告徴求命令を出している。

東京海上は東急や他の3社の名前は伏せた上で一連の経緯を公表。それによると、保険契約の入札時に損保各社が提示した保険料がいずれも高い水準だったことに疑念を持った顧客から、昨年12月20日に東京海上に不適切行為がなかったか指摘があったという。

その後、東京海上が関係者への聞き取りやメールなどの調査を行ったところ、契約担当者が価格調整を主導したと認めた。東京海上は今年3月に金融庁に報告。入札はやり直しとなり、不当に高い保険料での契約には至らなかった。

現時点では他の価格調整の事案は確認されていない。東京海上は、「独占禁止法に関する不適切な事案が生じたことを重く受け止める。再発防止に努める」としている。

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