米政府の国家経済会議専門エコノミストを務めたマーカス・ノーランド氏は1995年にまとめた調査報告書で「朝鮮総連関係の企業が日本の国税庁から特別の優遇措置を黙認されていることを日本政府関係者も非公式に認めている」と記述している。
「合意」には「五箇条の御誓文」という隠語が存在するが、日本の民主主義の原点を示した明治天皇のおぼしめしに例えるのはあまりに不謹慎だ。
社会党議員が仲介
北朝鮮当局はパチンコ店などの商工業を営む在日朝鮮人を「小ブルジョア」として蔑視していたが、1970年代半ばから、その経済力を利用し始めた。76(昭和51)年6月30日、金日成主席は朝鮮商工連の訪朝団に対して「在日同胞商工業者は祖国の社会主義建設に積極的に寄与すべきである」との談話を出した。
国税庁側の記録によると、金主席の談話の1カ月余り後の8月6日、朝鮮商工連の李鐘泰副会長、洪文権商工部長らが、社会党の高沢寅男衆院議員(後の党副委員長)とともに国税庁を訪問。田辺博通長官(後の中央監査法人会長)、田口和巳所得税課長(後のダイエー専務)が応対した。
朝鮮商工連側は(1)税金問題のすべてを朝鮮人商工会と協議して解決する(2)「脱税」を口実にした不当な「査察」「特別調査」等の政治的弾圧をやめる(3)朝鮮商工業者の取引銀行、取引先等に対する調査は本人の承諾を得る-などを求める要望書を田辺長官に手渡した。
高沢氏は社会党最左派の理論集団、社会主義協会の論客で、朝鮮総連と親密な関係にあった。