判決時に、裁判官個人についてここまで書くのは日本の新聞では異例だ。「裁判官は人間味に欠けて面白くない」との意見も多いが、「紙面上で無視してもいい」という理由にはならない。
繰り返しになるが、裁判所は3権の一翼を担う巨大権力だ。「チェックを受けない権力は暴走する」という点で、立法府と行政府と同じ。新聞によるチェック不足も、刑事裁判の有罪率が世界最高の99.9%になっている一因かもしれない。裁判官も人間であり、影響力のある大新聞の紙面上で「検察の言いなりになっている」などと指摘されれば、それなりに気にするものだ。
新聞報道で「裁く側」の扱いが小さいのは、刑事裁判に限らない。司法権の頂点に位置する最高裁裁判官の任命などをめぐる報道でも、日米で雲泥の差が出る。これについては次回で取り上げる。
(敬称略)
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