2019年9月4日~6日まで、パシフィコ横浜にて開催している日本最大のコンピュータエンターテインメント開発者向けのカンファレンスCEDEC 2019。2日目の9月5日には、メインホールにてCEDEC AWARDS 2019の発表授賞式が行われた。その模様をお届けしよう。
CEDEC受講者の投票により決定
CEDEC AWARDSは、コンピュータエンターテインメント開発の進歩へ功績を与えた技術にフォーカスし、開発者を称えて表彰することで、開発技術の普及・啓蒙と、産業の発展を目指すことを目的としたアワードだ。今回も例年どおり、CEDEC AWARDS ノミネート委員会を設置して、各ジャンルで優秀賞を選定。そのなかから、CEDEC受講者の投票により最優秀賞受賞者が決定し、当日発表される運びとなった。
表彰部門は、“エンジニアリング部門”、“ビジュアル・アーツ部門”、“ゲームデザイン部門”、“サウンド部門”の4つ。加えて別枠の“著述賞”と“特別賞”もあり、計6つの賞が発表・表彰された。各部門の対象作品・人物や、受賞コメントなどを、以下にまとめて紹介する。
著述賞(ゲーム開発の発展に貢献した著者・出版社)
『チェインクロニクルから学ぶスマートフォンRPGのつくり方』
発売:星海社 著者:松永純 氏(セガ・インタラクティブ/『チェインクロニクル』シリーズ 総合ディレクター)
コメント/松永氏
MCの方に、「普遍的で勇気あるタイトル」と紹介されましたが、これは出版側の編集長が勝手につけちゃったんです(笑)。現場の人間が実体験を本にできたことが評価され、うれしく思っています。ハウツーはもちろんですが、『チェインクロニクル』シリーズでのチャレンジが実際どうなっていったのかも書かせていただいたので、それが届けば、「やってみよう」と思う人も増えるんじゃないかと思います。それでゲームのおもしろさがより広がっていけばうれしいです。開発者のみなさま、いっしょにいいものを作っていきましょう!
特別賞(ゲーム開発の発展への貢献全般)
桜井政博氏(有限会社ソラ 代表)
コメント/桜井氏
コメントはひと言でいいって言いましたよね? “あざーっす!”(ここで会場に大拍手) ……冗談です(笑)。この特別賞なんですけれども、かっていただいていた方を見ると重鎮ばっかりで、自分が子どものころから活躍されていた方ばかりなのでびっくりしました。そのなかで賞をいただいたことは、殿堂入りしたようで誇らしくもあります。ただその人たちに比べると若い世代とはいえ、もう私も49歳で、トシですね(笑)。ゲームはおもに若い人たちが楽しむものと思っていますので、若い世代の方々がどんどんこういう場に上ってくれることを信じております。
エンジニアリング部門
優秀賞
Omar Cornut 氏(Lizardcube)
『Perforce』開発チーム(Perforce Software,Inc.)
Microsoft HoloLens開発チーム(Microsoft Corporation)
Amazon Web Service(アマゾン ウェブ サービス ジャパン)
『Mirrative』開発チーム(ミラティブ)
最優秀賞
『Perforce』開発チーム(Perforce Software,Inc.)
コメント/チーム代表者
(※英語でのスピーチで、全コメントは理解できませんでしたが、単語の節々をつなぎ合わせると、以下のようなニュアンスの内容は伝わってきました)
みなさんこんにちは。CEDEC AWARDSで名誉ある賞をいただき、ありがとうございます。開発チームのみんなも喜んでいます。今回訪れた日本は、とても美しい国でした。
ビジュアル・アーツ部門
優秀賞
『GOD OF WAR』開発チーム(SIE Santa Monica Studio)
『バイオハザード RE:2』開発チーム(カプコン)
須藤正喜 氏(アトラス/『ペルソナ』シリーズなどのUIデザイン)
『GRIS』開発チーム(Nomado Studio)
“Substance Painter”開発チーム(allegorithmic)
最優秀賞
須藤正喜氏(アトラス/『ペルソナ』シリーズなどのUIデザイン)
コメント/須藤氏
選ばれたら先のスピーチを参考にしようと思っていましたが、まさかの英語で……(笑)。最新作の『ペルソナ5』に限らず、『ペルソナ3』のころからシリーズに関わってきましたが、この賞をいただけたのは、ファンのみなさんや、ともに開発してきた仲間あってこそです。そんな人たちのおかげで、こだわって納得できるクリエイティブを発揮できたと思っています。これからも皆さんをビックリさせるべく、がんばりたいと思います。
ゲームデザイン部門
優秀賞
『Nintendo Labo』開発チーム(任天堂)
『ドラゴンボール ファイターズ』開発チーム(バンダイナムコエンターテインメント)
『TETRIS 99』開発チーム(任天堂)
『文絵のために』ゲームデザイナー カナイセイジ 氏(カナイ製作所/同人サークル)
『歌舞伎町 探偵セブン』企画制作チーム(SCRAP)
最優秀賞
『Nintendo Labo』開発チーム(任天堂)
コメント/チーム代表者・2名
ゲームを作っている皆さんならご存じと思いますが、お客さんに届いてフィードバックがあったときがいちばんうれしくって、それは特別な瞬間なんですね。今回はそんな不確実なことにチャレンジしている仲間がいて、その方たちに選んでいただけたことが、とてもうれしいです。
すばらしい賞をいただき光栄です。開発で大事にしてきたことは、自分で作ったものが動く最初の瞬間。それをお客さんにしっかり届けたいと思って作り込みました。本日の賞を糧に、また驚きを持って楽しんでいただけるようなものを作っていきたいです。
サウンド部門
優秀賞
『エースコンバット 7 スカイズ・アンノウン』サウンド開発チーム(バンダイナムコスタジオ)
『デビル メイ クライ 5』サウンド開発チーム(カプコン)
『BLACK BIRD』サウンド開発チーム(Onion Games)
『テトリス エフェクト』開発チーム(Enhance,Inc.)
“ZOOM H3-VR”開発チーム(ズーム)
最優秀賞
『エースコンバット 7 スカイズ・アンノウン』サウンド開発チーム(バンダイナムコスタジオ)
コメント/チーム代表者
入社以来、CEDECが大好きで、毎回参加しています。知識やスキルを持って、そのうえで技術を理解して使いこなすことで、よりたくさんのお客様を楽しませることができると教わった気がします。そう思って『エースコンバット 7 スカイズ・アンノウン』を開発し、このような賞をいただけたことをうれしく思います。シリーズ12年ぶりのナンバリングということで、伝統を受け継ぎつつ、サウンド面でもいろいろと新しいチャレンジを盛り込みました。これからもご期待いただければと思います。