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国立の東京医科歯科大(田中雄二郎学長)と東京工業大(
両大学は8日、大学経営の重要事項を審議する「経営協議会」を開き、統合に向けた協議を始めることを機関決定した。国立大の統合には国立大学法人法の改正が必要で、文部科学省は、統合後の大学の形態や存続法人など具体的な方針が決まり次第、法改正の手続きに入るという。早ければ2024年春にも統合が実現する見通しだ。
医歯大は医、歯2学部で学生数は約3000人。東工大は理、工など6学院(学部・大学院に相当)で約1万人が学ぶ。両大学は、世界水準の教育研究活動を目指す「指定国立大学法人」に選ばれている。指定国立大学法人どうしが統合を検討するのは初めて。
国が21年度、国立大に拠出した運営費交付金は、東工大が218億円、医歯大は138億円だった。統合すれば、北海道大(366億円)や筑波大(361億円)に並ぶ規模の「理系の総合大学」が誕生する。
医歯大と東工大は国際卓越研究大学の認定を目指しており、統合で東京大や京都大などトップ校に近づく狙いがある。認定が実現すれば、政府の「大学ファンド」から年に数百億円の支援を受けられ、研究環境の整備が飛躍的に進む。政府は23年度中に認定し、24年度から支援を始める。
ロボットやデータサイエンスの技術を応用し、新たな治療法やヘルスケアサービスなどを生む「医工連携」は、大学発ベンチャー(新興企業)の創業が活発で、産業界からの投資呼び込みも期待できる分野だ。米ジョンズ・ホプキンス大や、英インペリアル・カレッジ・ロンドンなど、医療と理工系分野で高い研究力を備えた海外有力大も多い。
取材に対して、医歯大は「現時点で公表できる状態ではない」、東工大は「本学から公表できることはない」としている。
◆ 国際卓越研究大学 =世界レベルの研究力を目指し、経済や社会に変革をもたらす成果を期待できる大学を、政府が認定する。政府は10兆円規模の「大学ファンド」で年3000億円の運用益を目標とし、2024年度以降、1校あたり年数百億円を配分する。認定校にはガバナンス(統治組織)改革を義務づけ、年3%程度の事業拡大なども求める。