春日大社に鎌倉期の名刀 延寿国吉作、さび落とし判明 奈良

 春日大社(奈良市)は、宝庫から見つかった黒漆太刀が、鎌倉時代後期の刀工、延寿国吉の作であることが分かったと発表した。研がれた跡がほとんどなく、当初の姿に近い貴重な作品という。来年3月27日まで大社国宝殿で展示している。

 春日大社によると、昭和14年に宝庫天井裏で太刀12振りが発見された。このうち3振りについて、今年行われた20年に1度の社殿大修理「式年造替(しきねんぞうたい)」を機に、人間国宝の本阿弥光洲さんが研磨してさびを落とし、詳細が判明した。

 全長106・8センチの太刀の柄には「國吉」と刻まれており、室町時代の将軍、足利義教(よしのり)の愛刀を作った延寿国吉が作ったとみられるという。ほか2振りも、平安時代末〜鎌倉時代初期の「古備前」の名刀であることが分かった。調査した東京国立博物館の酒井元樹・主任研究員は「国宝の刀剣と並べても遜色ない」と説明している。

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