<独自>航空宇宙自衛隊、9年度までに改称 防衛省

防衛省が、航空自衛隊の「航空宇宙自衛隊」への改称の時期について令和9年度までとする方針を決めたことが15日、分かった。昨年末に決定した新たな安保3文書に改称する計画を盛り込んだが、時期は明示していなかった。

防衛省は昨年3月、宇宙領域での活動を充実させるため、空自に「宇宙作戦群」を新たに編成した。改称までにさらなる部隊新編を重ねて体制整備を図り、将来的には、航空作戦と並び立つ主要任務に宇宙作戦を位置づける。防衛省関係者は「現状では『宇宙』を冠するにふさわしい作戦能力を有しているとは言いがたい」と語り、体制拡充が進むと見込まれる8、9年度ごろに改称する可能性が高いとの見方を示した。

防衛省の計画によると、改称を見据えた作戦能力の強化策として、人工衛星に接近するスペースデブリ(宇宙ごみ)などの物体を把握する宇宙状況把握(SSA)システムの本格運用を5年度に始める。日本の人工衛星に対する電磁妨害の状況を把握する「衛星妨害状況把握装置」の運用にも5年度中に着手する。8年度には宇宙領域把握(SDA)衛星の運用開始を予定している。

加えて、宇宙領域などでの戦い方に対応した装備品を生み出すため、6年度以降、防衛装備庁に新たな研究機関を設けることを計画しているほか、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との人材交流も進める。

3文書は、中国などが宇宙領域の能力を強化していることを念頭に、宇宙利用の優位性を確保し得る体制の整備を掲げた。また、日米両政府は1月、外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で、宇宙空間での攻撃が日米安全保障条約第5条の適用対象になりうるとの認識を確認した。

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