市原ぞうの国に愛知から妊娠中の象来園 最多の出産成功例、環境も抜群 千葉

 国内最多の10頭のアジアゾウを飼育する動物園「市原ぞうの国」(市原市山小川)に10月、豊橋総合動植物公園(愛知県豊橋市)の40歳近い年齢とみられるアジアゾウの雌「アーシャー」が出産・育児のため来園する。来年秋に出産予定のアーシャーは第1子を育児放棄した過去があるため、全国最多の3例の出産成功例を持ち、環境とノウハウが整ったぞうの国で出産・育児の成功を図ることになった。

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 同園によると、国内では約80頭のアジアゾウが飼育されているが、出産成功例は10例にとどまる。少数で飼育されることの多い象は、仲間の出産や子育てに触れたことがないケースがほとんどだ。

 10月21日に来園予定のアーシャーは1977年ごろにインドで生まれ、上野動物公園(東京都台東区)に寄贈された。平成10年にはぞうの国に繁殖目的で5カ月滞在した。

 23年、ついに豊橋総合動植物公園で第1子の雌「マーラ」を出産するも、間もなく攻撃するようになり育児放棄。精神面で不安を抱えたマーラは両前足を骨折し、現在もリハビリを続けているという。「育児に触れたことがなく、どうすればいいのか分からなかったのではないか」とぞうの国の担当者は分析する。

 ぞうの国にはアフリカゾウも1頭おり、タイから来ている象使いも16人と国内最多で、生育環境は抜群だ。「プーリー」が19年に「ゆめ花」を、25年に「りり香」(いずれも雌)を出産し育児にも成功した実績があり、昨年6月には神戸市立王子動物園から繁殖目的で来た雌「ズゼ」が雄の「結希」を出産した。結希はプーリーを乳母として、りり香と姉弟のように成長している。

 来春には妊娠中の雌「マミー」が第1子を出産する予定もある。アーシャーにはこの出産を見て学ばせたり、1歳の結希などを見て、子象がどのようなものかを教えたりする予定だ。

 出産時には、タイにいる世界最高峰の象の獣医師や群馬サファリパークの獣医師にも手伝ってもらう予定という。担当者は「アーシャーには早く溶け込んでほしい。仲間意識を高めてもらいたい」と意欲満々だ。

 アーシャーは17年前にも来園したことから、久々の再会となる象もいる。坂本小百合園長は「国内では、十数年ぶりに象が再会したことはこれまでにない。涙を流し合って喜ぶでしょう。それを見られるだけでもうれしいです」とも話した。

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