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3年前に起きた九州豪雨の爪痕が残る熊本県を3日、激しい雨が再び襲った。県内を流れる川が相次いで氾濫し、濁流が住宅街に押し寄せた。被害が大きかった同県益城町は熊本地震の被災地でもあり、繰り返される災禍に、住民からはため息が漏れた。
益城町では木山川と岩戸川が氾濫し、一帯が冠水した。熊本市消防局の救助隊が取り残された2世帯7人をゴムボートで助け出した。「逃げようとしたら一面茶色い水に覆われ、どうしようもなかった」。救出された農業の男性(70)は顔をこわばらせた。
未明に川から水があふれる「ゴウゴウ」という音が聞こえ、朝には自宅の床上近くまで迫った。道路は背丈を超える高さまで水につかり、妻と長女、孫2人で救助を待ったという。男性は「こんなに水が上がったのは初めて。あっという間だった」と振り返った。
同町赤井の浄恩寺では3日朝、山からの土砂が境内に流れ込み、本堂が倒壊した。けが人はいなかったが、近くに住む男性(67)は「大雨が続けば、さらに崩れるのではないか」と不安げに語った。
町内の木山川沿いを走る県道はこの日朝、増水した川に護岸を削られて一部が崩れ落ちた。川沿いに住む女性(29)は近くにある夫の実家に避難したが、実家は2016年の熊本地震でも半壊。女性は「なんで益城ばかりが」と肩を落とした。
このほか、北九州市若松区や小倉南区で住宅や倉庫が損壊し、佐賀県唐津市でも国道204号が土砂崩れで通行止めになるなどした。
JR九州は3日、大雨の影響で、久大線・豊後森―由布院駅間の線路に土砂が流入するなどの被害が計20件確認されたと発表した。同区間の運転は当面見合わせ、特急「ゆふいんの森」も運休する。運転再開は今月下旬になる見通しだ。
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