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優勝絶望的な正代 今からでも稽古すれば横綱になれるでしょう。しかし一日10番の稽古続くと大関持たないでしょう。29歳、のんきに構えている暇はない【北の富士コラム】

2021年3月20日 06時00分

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正代(右)は寄り切りで明生に敗れる

正代(右)は寄り切りで明生に敗れる

 正代4敗目、早くも優勝は絶望的となる。差し手争いから左を差され、腰の浮いたところを一気に寄られた。明生のうまさと速さが光った一番だが、先に右を差し勝った正代が攻めるタイミングを失った。
 相撲勘が悪いと言うことだろう。どうして勘が鈍ったのだろうか。それは稽古が足りないから。簡単なことです。今からでも稽古をすれば横綱になれるでしょう。しかし今の一日10番の稽古が続くと、大関も持たないでしょう。すでに年も29歳、のんきに構えている暇はない。
 がっくり肩を落としている正代とは対照的に、朝乃山は次第に調子を上げてきた。昨日までは立ち合いの踏み込みが高かったが、今日の踏み込みは低く腰が十分に割れていた。左の上手を引くのも、踏み込みが良いのですぐに引けて、右も差すのが速かった。そして一気に寄り切った。今場所一番の相撲だった。
 特に土俵際の詰めの格好の良さは見事なものだ。この調子が続けたなら、照ノ富士に対抗できるかもしれない。その照ノ富士だが実に豪快な相撲を見せてくれた。霧馬山を左四つに組み止めると、一気に高々と持ち上げ、左足でやぐらを見せてつり出した。霧馬山だって軽量とは言っても130キロはあるだろうに恐れ入る強さであった。
 強いと言えば隆の勝は本当に力を付けたものだ。当たりの強い阿武咲を立ち合い胸で受け止めると右をねじ入れ、胸を合わせ引きつけて一気に寄り切ってしまった。押し相撲の印象が強い隆の勝だが、右四つにもかなりの自信を持ってきたようだ。体形も肩幅が広いので四つ身でも十分に取れると自覚してきたのではあるまいか。どうやら一皮むけてきたようだ。
 しかしまだ今のところはできるだけ押し相撲に徹するべきだ。自分より体の小さい相手は、右を差して出足を生かして前に出るのが理想的であろう。人気の方もどんどん上がっているようだ。いつもニコニコと性格が良さそうで評判がよろしい。体も大き過ぎず小さからず均整がとれてまるで博多人形のようだ。床の間に飾っておきたいぐらいだ。少し褒めすぎたかな。貴景勝は会心の相撲で連敗しなかった。これで一安心。
 ところで今日はNHKの放送文化賞の授賞式に行ってきました。皆さんのおかげで立派なものを頂きました。ありがとうございました。北大路欣也さんとは60年ぶりにお会いしました。横浜巡業の折と千代の山の支度部屋に見えた時に私が対応したのです。
 私が入門して1年ぐらいで欣也さんはたしか学生服でした。私は汚いドロ着1枚。市川右太衛門さんの御曹司と当時の私ではまるで身分が違い過ぎ、まぶしい物を見るような気持ちは今でも覚えています。ファンの鏡里関のおなかに触らせてもらってうれしかったと少年のように目を輝かせていました。
 私とひとつ違いですが、やはり役者さんは違います。第一眼力がすごい。テレビの「三屋清左衛門残日録」はいい味を出して好きです。それから俳人の夏井いつきさんとも少しだけお話しできました。今の私ではプレバトはとても無理です。
 とにかく式はマスクをしたまま長時間で疲れました。朝食も食わずに行ったので倒れそうでした。やはり腹が減っては戦はできないです。夕飯もこれからです。死にそうです。(元横綱)
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