中国電力、大崎発電所を来年12月に休止
中国電力は大崎発電所(広島県大崎上島町)を2011年12月に休止する。同発電所はボイラーで石炭と石灰石を燃焼し、得られた蒸気とガスでタービンを回転させて発電する方式を採用。高効率で環境負荷が小さいとされるが、配管の摩耗や損傷が相次ぎ、稼働率が低迷していた。地元は雇用などへの影響を懸念。大規模投資の効率性も問われそうだ。
休止する大崎発電所「1-1号機」は出力25万9000キロワット。総事業費1400億円を投じて00年11月に運転を開始した。当時の先端技術だった加圧流動床複合発電方式(PFBC)を採用。硫黄酸化物(SOx)の除去や、窒素酸化物(NOx)、二酸化炭素(CO2)の排出削減につながる方式として期待されていた。
だが運転開始間もない02年につまずきが生じる。運転トラブルで長期間停止し、02年度の稼働率は22.9%にとどまった。その後も技術的な課題が相次ぎ、最近2年間の稼働率は40%台前半で推移、目標の60~70%を大きく下回っていた。
05年には北海道電力が同方式の苫東厚真発電所3号機(北海道厚真町)を廃止。「修繕費用を含めた発電コストが割高だった」という。中国電も08年6月、同方式で建設を予定していた大崎発電所「1-2号機」の計画を取りやめ、別の方式の実証試験に着手する方針に転換している。
休止について大崎上島町は「町で最も大きな企業。雇用や財政など経済への影響が心配だ。影響が最小限になるよう協議していく」(企画課)という。現在、同発電所には中国電の社員約50人が勤務している。運転開始から10年余りでの休止については、地元や顧客に対する十分な説明が求められる。