【ヤクルト】ドラ1奥川恭伸、球種分かっていても打てない…初フリー登板27球で4度空振り

 ヤクルトのドラフト1位、奥川恭伸投手(19)が31日、2軍本拠地の戸田球場で、プロ入り後初めてフリー打撃に登板した。同じ高卒新人の長岡、武岡、育成選手の内山の3人を相手にのべ8打席対戦。スライダー、フォークを交えて27球を投げ、最速は152キロをマークした。結果だけではなく、新人離れした投球内容に担当の田島正登記者が「驚いた」。

 マウンドで右腕を振る喜びに浸った。自己評価のハードルが高い右腕が「久しぶりに打者に対して投げることができました。良かったです」と納得のコメント。立ち上がりはマウンドが合わなかったのか、2人目の長岡にストレートの四球を与えるなど、6球のうち5球がボール。だが、浮足立つことはない。チーム関係者が「さすが」と舌を巻いた修正能力で、すぐに立て直し、実戦感覚を取り戻した。

 平均で150キロ近い直球の球速もさることながら、驚くべきは4度も空振りさせたことだ。フリー打撃では事前に打者に球種を予告した上で対戦。球種が分かっていて空振りさせるシーンは珍しい。相手が同じ若手とはいえ、同じ高校侍の武岡からフォークで2度の空振り三振、ファウルで粘る長岡のバットも最後は空を切らせるから、末恐ろしい。小川GM、伊東編成部長らも訪れた中、安打性の打球は1本。荒れた序盤から打って変わり、その後の21球中19球がストライク投球だった。

 1月に発症した右肘の軽度の炎症やコロナ禍の影響で常に順調とはいえない道のりだったが、いよいよ実戦デビューが現実味を帯びてきた。今後のプランも慎重に検討されるが、シート打撃か再びフリー打撃に登板。その後は6月中旬にもイースタンの練習試合で初登板することが十分に考えられる。

 この日は神宮で1軍練習を見守った高津監督が「あれは勝てる」と事あるごとに太鼓判を押す背番号11。プロ入りから5か月でまたひとつ段階が進んだことで「徐々に調子も上げていきたいと思います」と言葉も弾んだ。次世代エースの片りんをのぞかせる“奥川の27球”だった。(田島 正登)

 ◆同じく高卒入団の大谷、佐々木朗のフリー打撃初登板は?

 ▽大谷翔平(日本ハム・13年) 2月21日に2軍の国頭キャンプで初登板。初球から4球連続ボールなど、打者2人に45球を投げ、21球がボールと制球が乱れたが、安打性4本。球速は計測しなかった。

 ▽佐々木朗希(ロッテ・20年) 3月24日にZOZOマリンで初登板。打者2人に直球のみ25球を投げ、最速157キロを3度計測するなど、13球が150キロ超え。空振りは3球。

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