1968年に行われた札幌医大の和田教授による日本初の心臓移植は、脳死と移植医療に対する強い不信感を生んだと言われ、その後日本での移植医療は完全に停滞してしまいました。
1980年には、心臓が停止した死後の角膜と腎臓提供を可能とする「角膜と腎臓の移植に関する法律」(角膜・腎臓移植法)が施行されましたが、他国で腎臓以外の臓器不全の患者が救われている現状をみて日本国内でも脳死臓器移植の必要性が叫ばれ、ついに、1997年10月16日に脳死後の臓器提供を可能にする「臓器の移植に関する法律」(臓器移植法)が施行されました。しかし、臓器移植法は、脳死後に臓器を提供する場合、本人の書面による意思表示を必須とするなど世界に類を見ない厳格なルールで、脳死臓器提供は増えませんでした。
世界のどの国においても臓器の提供者は足りておらず、2008年の国際移植学会で「移植が必要な患者の命は自国で救える努力をすること」という主旨のイスタンブール宣言が出されたことで、海外渡航移植に頼っていた日本でも臓器移植法の改正に拍車がかかり、2009年に改正臓器移植法が成立し、2010年7月に全面施行となりました。
[海外渡航移植(他国に臓器を求める動き)への規制]
臓器取引と移植ツーリズムに関するイスタンブール宣言( 国際移植学会:2008年5月)
必要な臓器は各国内で確保する努力を求める指針
( 世界保健機構(WHO):2010年5月臓器移植に関する新指針の採択)