東京―金沢の大動脈が遮断、北陸新幹線運休に旅客困惑
台風19号の影響で長野県内の車両基地に留置していた車両が水につかった北陸新幹線は、14日も東京と金沢を結ぶ直通列車が全て運休となった。3連休の最終日で、観光客などから困惑の声が聞かれた。航空会社は富山空港と羽田空港を結ぶ臨時便を運航した。4年前に開業した北陸新幹線は北国特有の雪や風に対する強さが売り物だったが、台風に足をすくわれた。
14日朝の金沢駅。台風が過ぎ去ったにもかかわらず、新幹線の運行状況を尋ねる観光客などで列ができていた。駅に貼られた運転計画の前には訪日外国人(インバウンド)らが不安そうな顔で立ち尽くしていた。
盛岡市から夫婦で観光に来たという赤坂義悦さん(64)は「北陸新幹線を使って大宮経由で帰る予定だったが、急きょ米原(滋賀県)経由で東海道新幹線を使って東京に向かうことにした」と語った。
富山駅では、小学生と2歳の子供を連れて千葉県に戻るという主婦が「仕事や子供の学校を考えると今日中になんとか帰りたい。でも、2人の子供を連れて何度も乗り換えるのは大変」と困惑した表情で語った。
今回、水につかった車両は10編成で、北陸新幹線の車両の3分の1を占める。現在も東京―金沢間の直通運転再開のめどは立っていない。
新幹線の代替手段として航空便やバスを利用する人も増えている。全日本空輸は14日午後2時台に富山―羽田間で臨時便を運航した。出張のため新幹線に乗る予定だったという富山市の45歳の会社員は「昨夜遅くに臨時便の運航に気付き、予約した。北陸新幹線が開業して以降、航空便が減ったので、当分は不便になることを覚悟しないといけない」と話す。
富山地方鉄道が運行する富山と東京を結ぶ高速バスは、14日の午前中に16日運行分まで満席になった。
北陸新幹線の運休は秋の観光シーズンに期待するホテルにも影響を及ぼしている。金沢彩の庭ホテル(金沢市)では14日昼の時点で、11~22日の期間の宿泊が計93室キャンセルになった。本郷一郎支配人は「次の連休の宿泊をキャンセルする人も増え始めた。ラグビーワールドカップで10月は宿泊客が増えていたのに」と声を落とす。富山駅の近くにあるANAクラウンプラザホテルでは、12~14日の予約キャンセルが計50件程度に達したという。