農水省、元大臣贈収賄事件で第三委報告書 「政策影響はなし」も吉川氏の「働き掛け」確認

吉川貴盛被告
吉川貴盛被告

鶏卵生産大手「アキタフーズ」(広島県福山市)側から大臣在任中に計500万円を受け取ったとして収賄罪で元農水相の吉川貴盛被告が在宅起訴された汚職事件をめぐり、農林水産省の第三者委員会は3日、一連の事件による養鶏・鶏卵政策決定過程での判断のゆがみはなかったとする報告書を同省に提出した。

一方、第三者委は他の畜産業と比べ、養鶏・鶏卵行政の業者や政治家との距離の近さや職員の公務員倫理規程に対する意識の低さを指摘、行政の透明性の向上のための対策を求めた。

野上浩太郎農水相は同日、報告書の提出を受けて記者会見し、「指摘や提言を真摯(しんし)に受け止め、直ちに改善策を検討し、実行していく」と述べた。

調査では、養鶏・鶏卵政策ついて、アキタフーズ元代表=贈賄罪で在宅起訴=らによる働き掛けで、行政の政策判断の公平性がゆがめられた事実がないかが焦点となった。

第三者委は今年2~5月、枝元真徹事務次官はじめ同省職員やOBなど51人から聞き取りを実施。幹部職員に対する吉川被告らによる働き掛けがあったほか、吉川被告が同席した上で幹部職員への接待会食があったが、政策決定に影響を与えたとは認められなかったと結論付けた。

一方で、第三者委は養鶏・鶏卵行政は「政・官・業」の距離が近く「行政が政治や生産者からの働きかけを受けやすい構造にある」としたほか、幹部職員が倫理関係法令の理解を誤っていたとも指摘。政策の意思決定過程の透明性を向上させるシステムの導入などを提言した。

あわせて農水省は3日、汚職事件に絡み発覚した幹部職員の接待問題を受けた追加の倫理調査の結果も公表。対象となった現役職員150人で、平成22年度以降の畜産関連事業者との会食が265件確認された。このうち政治家が同席した30件中5件で職員の会食費用を政治家が負担したほか、1件で国家公務員倫理規程の届け出をしていなかったことも分かった。

会員限定記事会員サービス詳細