WHO、新型コロナ緊急事態宣言を解除

テドロスWHO事務局長=スイス・ジュネーブのWHO本部(共同)
テドロスWHO事務局長=スイス・ジュネーブのWHO本部(共同)

【ロンドン=板東和正】世界保健機関(WHO・本部ジュネーブ)のテドロス事務局長は5日、新型コロナウイルスをめぐって2020年1月に宣言した「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を解除すると発表した。ワクチン普及や治療法の確立によって、新型コロナの新規感染者数や死者数が減少していることを考慮した。

WHOは4日、新型コロナを巡る緊急事態宣言の継続の是非を定期的に協議する緊急委員会を開催。緊急委での専門家の協議を踏まえ、テドロス氏が判断した。テドロス氏は5日、緊急事態宣言の解除について「専門家の助言を受け入れ、大きな希望をもって緊急事態の終了を宣言する」と述べた。

緊急事態宣言は、感染症対策で国際的な調整が必要と判断される場合にWHOが出す最高度の警告で、宣言に法的強制力はないが、各国に検査態勢の整備などを促す。緊急事態宣言の解除により、各国が新型コロナへの警戒度を下げ、対策を緩める可能性がある。

WHOの3日時点の集計では、新型コロナの累計感染者数は世界で約7億6522万人、累計死者数は約692万人に上る。

ただ、新規感染者数と死者数は減少傾向にある。WHOによると、4月24日からの1週間に報告された新規感染者数は世界全体で約63万人と前週比で約14・68%減。中国が「ゼロコロナ」政策を撤回し、感染が急拡大した影響などで昨年12月19日からの1週間で約4487万人の感染者数を記録した時期から大幅に減少した。

4月24日からの1週間に報告された新規死者数も約3500人と前週比で約18・46%減。流行初期の20年3月以来の少ない水準で推移してきている。

テドロス氏は今月4日の緊急委の冒頭、新型コロナの死者数の減少傾向が続いているとし、「非常に喜ばしい」と歓迎。「大半の国で生活が『正常』に戻った」と述べた。

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