貴景勝、ドタバタ休場で大関陥落 前夜祭収録後に決定、出演シーンは全カットか

前夜祭に向かうため千賀ノ浦部屋を出た貴景勝=4日、名古屋
前夜祭に向かうため千賀ノ浦部屋を出た貴景勝=4日、名古屋

 大関貴景勝(22)=千賀ノ浦=が大相撲名古屋場所(7日初日=ドルフィンズアリーナ)を休場することが4日、決まった。新大関の夏場所で右膝を痛め途中休場したため、今場所で2場所連続負け越しとなり、秋場所(9月8日初日=両国国技館)は関脇に転落することになった。

 この日の朝稽古終了後、貴景勝は師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)に「どうしても出たい。お願いします」と出場を直訴。しかし千賀ノ浦親方は「稽古をしないで、ぶっつけ本番で取れるほど、相撲は甘くない」と反対し、「(右膝の)痛みはありませんと言って意思が固い」弟子と4時間半も押し問答を繰り広げたが、結論は出ず。地元局のCBCが主催する「名古屋場所前夜祭」に出席したあと、再度話し合った夜6時すぎに休場が決まるドタバタ劇となった。

 前夜祭は500人のファンを前にした収録番組で、横綱白鵬、夏場所優勝の朝乃山ら人気力士がクイズやカラオケなどを行うもの。横綱鶴竜は治療のため欠席した。

 名古屋場所初日の3日前に前夜祭があるのは恒例で、放送日は初日前日の6日。番組に迷惑がかからないように、休場する力士は収録までに出場の可否を判断するのが慣例となっている。

 貴景勝は今場所に出場するつもりで参加したようで、「気持ちで一生懸命頑張りたいと思います」と意気込みを語っていた。2時間の収録を54分に凝縮してオンエアするが、貴景勝の出演場面はカットするしかない。

 千賀ノ浦親方が「カド番で休場したくないという気持ちはわかる」と複雑な胸中を明かしたように、貴景勝は最短の2場所で陥落。現行制度となった1969年名古屋場所以降では、2000年名古屋場所の武双山(翌場所10勝で大関復帰の特例で1場所で復帰)以来2人目となる。

 貴景勝は「師匠の判断は絶対。最後の番付(横綱)を目指したいので、あと2カ月地道にやっていくしかない。(休場の)選択に時間はかかったが、納得している。大関の座はいったん手放すことになる」と最後は折れた。関取衆との稽古も再開できず、ゴーサインを出せるような段階に持っていけなかった。

 千賀ノ浦親方は「ほっとしている。まだまだ若い。先がある。今場所出ていれば(右膝を)悪化させる可能性は大きかった。これ以上、脚を悪くして相撲人生を終わらせるわけにはいかない。脚が良くなれば、今より強い貴景勝が戻ってくる」と説得に成功し、胸をなで下ろした。(塚沢健太郎)

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