特集 松井秀喜

あこがれのヤンキースへ

 松井が移籍先にヤンキースを選んだのは、予想された結論と言える。3年で25億円契約。レッドソックス、メッツなど、ほかの球団も関心を示したが、最初から心は決まっていたようだ。

 「ヤンキースは大リーグの中でも伝統があり、素晴らしい選手が在籍していたチーム。自分に対して一番刺激があると思った」。契約後の会見で、松井はそう言った。本塁打王ベーブ・ルースや、鉄人ルー・ゲーリッグら、数多くの名選手を輩出した球団の、伝統と実績がなにより魅力だった。代理人のアーン・テレム氏に、「まずヤンキースと交渉してほしい。だめだったら次を考える」と伝えていたとも言われる。

 日本の野手としては、イチロー、新庄剛志、田口壮に次ぐ4人目のメジャー挑戦。安打ではなく本塁打を期待されるため、本当に通用するのか、という疑念も少なくなかった。自分が飛び込む環境を冷静に見詰めた上で、松井は冷静に抱負を話した。
 「パワーが違うし、現時点で同じように打つのは難しい。どういう形で対応できるか、向こうに行ってから判断したい」
 「未知の領域に踏み込むわけだから、不安の方が大きくて当たり前。最終的に大きな自信をつかめればいい」。

 入団が決まった日、ニューヨーク・ポスト紙は「ゴジラ、ブロンクス(球場の所在地)に来る」の見出しを掲げ、「大砲になり得る選手」と好意的に報じた。日米の大きな期待を受け、松井は米国に乗り込んだ。

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