大人の遠足

千葉県芝山町 芝山古墳群と埴輪 未発掘地も…新たな発見に期待

【大人の遠足】千葉県芝山町 芝山古墳群と埴輪 未発掘地も…新たな発見に期待
【大人の遠足】千葉県芝山町 芝山古墳群と埴輪 未発掘地も…新たな発見に期待
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大阪府の百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群が世界文化遺産に登録されることになり、古墳時代への注目が集まっている。実は千葉県は、全国で4番目に古墳の数が多い地域。成田空港に近い芝山町周辺は県内有数の古墳密集地であり、出土した埴輪(はにわ)を展示する博物館もあるなど、古代史好き必見のスポットになっている。

古代史好き必見

まずは「町立芝山古墳・はにわ博物館」を目指し、成田空港の東側を走る県道62号を南下する。この道路は「芝山はにわ道」とも呼ばれ、道沿いの所々に武人や馬などの埴輪のオブジェが立っている。町によると、国が昭和63年から平成元年にかけて全国の市町村に1億円を交付した「ふるさと創生事業」を活用して作ったものだという。

緑に囲まれた公園内に建つ博物館には、県内や関東地方で出土した埴輪が地域別に並び、造形や表情の違いなどの特徴を見比べることができる。

博物館の奥住淳学芸員は「千葉県には約1万3千基の古墳があり、数の多さでは全国4位。古墳時代から河川や湖沼が多く、水に恵まれ豊かな土地だったので、11の国造(くにのみやつこ)が分布するなど豪族が多かった」と解説する。町内の古墳は現存するものが99基。現在は消滅したものを含めると、計280基の存在が確認されている。

町周辺は県内有数の古墳密集地であり、中でも2基の前方後円墳が並ぶ「殿塚・姫塚古墳」(同県横芝光町)は、昭和31年の発掘調査で人物や動物をかたどった多量の埴輪が出土し、学術的に注目された。

配列の意味解明

この発掘調査では6世紀中頃に造られたとされる殿塚(全長88メートル、高さ7・8メートル)と、6世紀末の姫塚(全長58・5メートル、高さ4・8メートル)で、それぞれ北側の外周に沿うように埴輪の列が出土した。特に姫塚では45体の埴輪が当時立てられた位置のまま見つかった。奥住学芸員は「埴輪が列をなした状態で出土することは珍しく、それまで不明だった配列の意味を解明する大きな発見だった」と話す。

先頭から馬子、馬、武人、巫女(みこ)と思われる女性、農夫と続く埴輪の列は葬列の様子を再現したものと考えられる。埴輪は古墳の外側を向いており、埋葬された支配者の威厳を示す政治的な役割を果たしていたという。

殿塚・姫塚古墳は、博物館の南西約2キロの場所にある。芝山はにわ道路から細い道に入り300メートルほど進むと、車道の突き当たりの奥に小高い丘のような古墳が見えた。一帯は国指定史跡で、春は桜の名所になるというが、訪れた時期は初夏の野草が伸び盛りで、古墳も一面緑に覆われていた。ここは毎年11月に開かれる「はにわ祭」で、町民らが古代人の姿に扮(ふんして現代の地に降り立つ「降臨の儀」の舞台にもなっている。

奥住学芸員によると、芝山町は土地の約7割に古代の遺跡があるとされ、未発掘の場所も残っている。成田空港に10年以内に新設される計画の第3滑走路は、同町が主な建設予定地であり、着工前に広範囲の発掘調査が行われる可能性が大きい。新たな発見への期待が高まる。(城之内和義)

芝山町立芝山古墳・はにわ博物館

千葉県芝山町芝山438の1。芝山鉄道・芝山千代田駅からバスで24分。成田空港から車で20分。開館時間は午前9時~午後4時半。入館料は大人200円、小中学生100円。休館日は月曜、祝日の翌日(月曜が祝日の場合はその翌日)。0479・77・1828。

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