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テキサス州、テスラも魅了 先進企業流入で産業地図変貌

ヒューストン支局開設特集(1)

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石油や天然ガスなどエネルギー産業に立脚して成長したテキサス州が変貌している。税制優遇や交通の利便性、生活費の安さが企業と人材をひき付け、ハイテクや先端医療、自動車など米経済の潮流をリードする存在になった。カナダやロシアを上回る規模を持つ経済圏の動きが、世界で重みを増す。

テキサス州中部オースティン。テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は7日、同地で建設中の新工場から中継した株主総会で、本社をシリコンバレーからテキサスに移転すると表明した。近郊には企業向けIT(情報技術)大手のオラクルも2020年末に本社を移し、アップルも拠点を広げる。

オースティン商工会議所によると21年1~8月だけで約140社が新たに拠点を設けたり人員を増やしたりした。

テキサスの「磁力」は多岐にわたる。税金の安さや企業への規制の緩やかさ、温暖な気候や生活のしやすさ――。同州に本社を置くデル・テクノロジーズのマイケル・デルCEOは「ビジネスに友好的な制度が多くの起業家を引きつけている」と話す。

従来、メキシコ湾岸地域はエネルギーや化学のプラントが集積し、石油・ガス産業の中心地だった。テキサス北部ダラスには半導体大手のテキサス・インスツルメンツが本社を置くなど通信業も盛んで、通信大手AT&Tや日本の通信会社、通信機器メーカーも拠点を構える。

こうした経済基盤の上に、幅広い産業とサプライチェーン(供給網)が根付き、経済圏としての規模と多様性を増しているのがいまのテキサスの姿だ。

新型コロナウイルスの感染拡大もテキサスの変貌に拍車をかける。コロナ下で多くの企業が在宅勤務にシフトするなか、リモートワークを活用しテキサスに移住する人が増加。昨年、カリフォルニア州から移り住んだ男性は「コロナが収束して在宅勤務が認められなくなっても、現地で仕事を見つけられる安心感があった」と話す。

域内の国内総生産(GDP)は成長を続けており、いまでは米国の1割弱を占める。カリフォルニア州に次いで全米2位でカナダやロシアを上回る規模だ。

人口も伸びている。テキサス州の最大都市ヒューストン都市圏は人口約400万人で全米4位。テキサス不動産協会のまとめによると、全米50州の移住者ランキングではテキサス州は2位という。バージニア大学によると、テキサス州の人口増加率の予測は40年に10年比で59%増の約4000万人。同23%増の全米平均を上回り、全米50州で最も増えると予測する。

日本貿易振興機構(ジェトロ)ヒューストン事務所の桜内政大所長は「都市部は多様性があり様々な人が住んでいるので、州外から来た人でも居心地がいい」と話す。

一方、リベラルな思想の従業員が多いIT企業と、保守色の強い州の間であつれきも生まれている。ダラスに拠点があるセールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフCEOは9月、人工妊娠中絶をほぼ禁じる州法の成立を受けて、従業員が望む場合はテキサスからの「脱出」を支援すると表明した。

新型コロナで打撃を受けた経済活動は持ち直しつつある。1~3月期の域内GDPはコロナ前の水準に戻した。ヒューストン市内のショッピングモールや飲食店は顧客でにぎわい、20年4月に12.9%まで上昇した失業率は21年8月に5.9%まで下がった。

医療では世界最大級の病院群「テキサス・メディカル・センター」がヒューストンにある。がんや小児科など世界トップレベルの病院が居を構え、海外から医師が留学や研修で訪れる。

もっとも、感染力の強いデルタ型のまん延など懸念材料もある。テキサスのコロナの1日あたりの感染者数は、直近のピークで9月中旬に2万人を超えた。足元では1万人を下回る日も多いが、ワクチンの接種率がニューヨーク州やカリフォルニア州より低いのがリスク要因だ。

(ヒューストン支局長 花房良祐)

トヨタが呼び水、日系330拠点

テキサス州には多くの日本企業が進出している。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、2019年時点で日本企業は州内に335の事業所を構える。ニューヨーク州やイリノイ州を上回り、カリフォルニア州に次いで全米で2番目の規模だ。

テキサスは00年代後半のシェール革命によって北米最大の石油・天然ガスの産出地となった。日本のエネルギー企業や商社も相次ぎシェール開発に参入。10年代半ばの原油相場の下落で多くのプロジェクトが巨額の損失を計上し日本企業の直接投資は下火になったものの、日本へのエネルギー資源の供給拠点としての重要性は高まっている。

19年には大阪ガスと、東京電力ホールディングス中部電力の折半出資会社JERAが出資するフリーポートの液化天然ガス(LNG)プロジェクトが商業運転を開始した。三井物産三菱商事日本郵船が出資する隣州ルイジアナ州のキャメロンLNGプロジェクトも、20年までに3系列で合計年間1200万トンの生産設備が稼働した。

米国ではトランプ前政権下でシェール開発が加速したが、環境保護を重視するバイデン政権の発足により化石燃料には逆風が吹いている。テキサスのエネルギー産業の先行きは、国内電力の大部分をLNGに頼る日本のエネルギー政策においても重要なテーマだ。

テキサスでは自動車産業も急成長している。トヨタ自動車が06年に州南部のサンアントニオ市に完成車工場を建設し、北米市場で人気が高いピックアップトラックの生産を開始した。トヨタの現地生産に対応するかたちで部品メーカーの進出も進んだ。

トヨタは17年にダラス近郊のプレイノ市に北米の本社機能を移転し、生産、販売、金融事業などに関わる約4000人を集めた。デンソーは19年に同市に先端サービスの研究開発センターを開設した。

米企業では電気自動車(EV)のテスラが21年末までに、州都オースティン市近郊で米国第2工場を稼働する。メキシコ北部に集積する自動車部品工場と近い地の利も生かし、テキサスは米南部の自動車産業の一大拠点となった。

交通インフラや不動産開発においても日本企業の存在感は大きい。ダラス~ヒューストン間の385キロメートルを約90分でつなぐテキサスの高速鉄道計画にはJR東海が中心となって技術支援を行う。ダイキン工業はヒューストン近郊に米国子会社グッドマンの大規模工場を構え、オフィスや住居向けの空調システムの開発・生産を手掛ける。

(ニューヨーク=中山修志)

食・音楽・映画 全米が注目

焼けた肉の香ばしいにおいにつられてバーベキュー店に入り、ライブバンドの演奏を聴きながら地ビールを楽しむ――。テキサス州のライフスタイルは今、全米の注目の的だ。

州都オースティン市は「ライブミュージックの都」の異名を持つ。全米有数の「住民1人当たりのライブハウス数」を誇る。カントリーミュージックからブルース、ロックまで幅広いジャンルの生演奏が連日楽しめる。

食も充実している。牛肉メインのテキサス風バーベキューは、カロライナ風など米4大スタイルの一つ。テキサス風のメキシコ料理「Tex-Mex(テックス・メックス)」は、隣国の料理と米国料理が融合した地元の味だ。オーガニック食材に強い食品スーパー「ホールフーズ・マーケット」発祥の地で、健康志向の高い食材も充実している。

映画制作も盛んだ。雨天の少ない温暖な気候は撮影に向いている。ハリウッド俳優のなかにはテキサス在住派も多く、人気俳優マシュー・マコノヒーさんは州知事への出馬も噂される。

テキサス州はメキシコから独立した歴史を持ち中南米系の移民が多い。そこに近年の米西海岸からの人口流入が加わり、文化の融合はさらに進む。

変わらぬ伝統もある。人々は礼儀正しく、来客を温かくもてなす。米南部版のおもてなしの心「サザン・ホスピタリティー」は健在で、都市部を離れればブーツにハットが似合うカウボーイの姿も。古き良き米国と多様化する米国の両方が息づく場所だ。

(ニューヨーク=清水石珠実)

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