所定外給与、5月25.8%減 コロナで残業3割減る
厚生労働省が7日発表した5月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、残業代などを示す所定外給与は1万4601円と前年同月比で25.8%減った。下げ幅は比較可能な2013年1月以来で最も大きかった4月からさらに悪化した。
調査方式の変更で単純比較できないが、13年1月より前の最大の下げ幅はリーマン・ショック後の09年3月の22.7%減。今回の下げ幅は記録的な落ち込みといえる。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で企業は残業時間を減らしている。働く時間が少なくなり、給与が減る傾向が鮮明になっている。
所定内の給与も含めた現金給与総額は26万9341円で2.1%減だった。消費税率の引き上げ後に景気が低迷していた15年6月以来の大きい下げ幅だった。所定内の給与は前年と同水準になっており、所定外の給与の引き下げの影響が色濃く出ている。
残業など所定外の労働時間は労働者1人平均で7.3時間と29.7%減った。所定内労働時間も7.4%減っており、合計の総実労働時間は122.3時間で9%の減少となった。
特に厳しいのはパートタイム労働者だ。パートタイム労働者の現金給与総額は9万2929円で、4.1%減った。一般労働者(2.8%減)より下げ幅は大きい。
総務省の5月の労働力調査で、非正規従業員は61万人減った。失業者が増加する一方、仕事を持っている人でも給与が減り生活が苦しくなっている可能性がある。
消費の低迷は小売りや飲食といった企業に打撃を与える。宿泊業や飲食業をはじめとした休業者数は5月に423万人に達した。企業の業績悪化が長期化すると、働いている人の給与が落ち込むだけでなく、解雇や雇い止めが一気に広がる懸念もある。
企業は5月時点で、残業代などの所定外給与を減らしつつ、正規社員を中心に雇用を維持している。企業によっては残業時間の短縮により、時間に縛られない働き方を一段と加速しているケースもある。コロナ禍の影響が収束したあとも、働き方改革や在宅勤務の推進といった生産性向上策が定着するとの期待もある。
来月発表になる6月の毎月勤労統計調査では、毎月の給与に賞与も含めた賃金の動向を確認できる。日本経済新聞社がまとめた20年夏のボーナス最終集計(6月25日時点)では、全産業の平均支給額が5.37%減となった。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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