NEXUS アーティスト・インタヴュー:KANA−BOON 完全解析・KANA−BOONは何がどう凄いのか!?

いよいよメジャーデビューアルバム『DOPPEL』を完成させた4人組ロックバンド、KANA−BOON(カナブーン)。NEXUS初登場となるこの記事は、彼らの何がどう凄いのかを読み解くインタヴューです。

まず、とにかく今年の彼らの勢いの加速っぷり、人気の拡大のスピードは目を見張るほどだった。去年はまだ全国的には「知る人ぞ知る」的な、ほとんど無名のニューカマー。それが、みるみるうちに「2013年ロックシーン最大のブレイク候補」まで上り詰めていった。曲とパフォーマンスの力でどんどん人気者になっていったわけだ。僕はフェスやイベントで今年1月から計6〜7回彼らのライヴを観てるのだけど、観るたびにオーディエンスの歓声と熱気は圧倒的なものになっていった。

そして、9月にリリースされたメジャーデビューシングル『盛者必衰の理、お断り』はオリコン10位を記録。アルバム『DOPPEL』の完成度と活動の充実度を考えると、彼らがこの先にさらなる大きな波を巻き起こすのは間違いないと思う。

4人とじっくり語り合ってきました。

取材・文=柴 那典

腕組みしてる人が、最後には軒並み踊ってる


――メジャーデビューアルバム、バッチリの出来だと思います。

全員
ありがとうございます!

――というわけで、今回の取材ではまずKANA−BOONの2013年を振り返っていきたいと思うんです。まず、1月に新木場Studio CoastでHighAppsのイベントに出た。あの時に僕は初めてライヴを観たんですけれど、まだ東京では「初めまして」の人がほとんどだった。

谷口鮪
(Vo/G)
まだ全然そうでしたね。

――あの時点と今を比べてみてどうでしたか? この半年。

谷口
やっぱり引っ越して上京したっていうのもあって、距離感は縮まりましたね。東京のファンの人達もビックリするくらい増えたし。特に4月にCDをリリースしてからは、取り巻く環境もだいぶ変わりました。

――その理由って、自分達で客観的に分析してたりします? それとも「なんだ!? なんだ!?」って感じが正直なところ?

谷口
いや、そりゃもう、完全に「なんだ!? なんだ!?」ってほうで――。
古賀隼斗
(G)
分析できへんな、全然(笑)

――わかりました。これ、僕は分析したんですよ。何故KANA−BOONのファンが増えたのか。

谷口
マジですか?

――僕はフェスやイベントでKANA−BOONのライヴを何度も観てるんですけど、そこでお客さんの様子を観察してるとハッキリわかるんです。最初は後ろの方にいるお客さんは、わりと腕組みして見てるんですよ。でも、その腕組みしてる人が、最後には軒並み踊ってる。

古賀
そんなバカな(笑)。

――「そんなバカな?」って、僕も最初は思ったんですよ。でも5月のMETROCKでそういう状況が起こっていて、7月の北海道のJOIN ALIVEでもそうだった。そして、8月のROCK IN JAPAN FES.の時には、既に噂が噂を呼ぶ状態になっていた。鉄板でこんなライヴをするバンドは滅多にいないから、僕はずっと「この状況は一体何だろう」と思っていたわけなんです。皆さんはステージの上からはどんな風にフェスのお客さんを見てました?

谷口
今年は、フェスというものに出るのも初めてだったんです。だから「こんな感じか!」と思ってましたね。予想以上でした。
古賀
あと、やっぱり奥のお客さんが盛り上がってなかったりすると、そこに伝わるように意識を向けてライヴはしてますね。
谷口
古賀の眼力やな。あとドヤ顔(笑)。
飯田祐馬
(B)
「みんな気持ちよくなれ」みたいな顔やもんな(笑)。

20歳でメジャーデビューする予定だった


――そもそも最初にライヴをやってた時から、こういう風に「全員巻き込んで踊らせよう」みたいなバンドだった?

谷口
そうですね。ずっと会場全体が楽しめる空気であればいいなと昔から思ってました。

――バンドが始まったのも、相当古いんですよね。

谷口
結成が高校一年なんで、7年前くらいです。

――その頃に自分が思い描いてたものってどうでしたか?

谷口
僕は中学校から音楽を始めていて。でもこの二人、古賀とこいちゃん(Dr.小泉貴裕)は楽器も初心者で音楽も聴かない人達だったんで、特にビジョンとかは無くて。その当時はみんな、今みたいな環境は想像してなかった。
古賀
してなかったです。

――谷口くんはしてた?

谷口
僕は、KANA-BOONかどうかはわからないけど、音楽でメシを食うつもりはありましたね。20歳でメジャーデビューする予定だったんですよ。中学校の卒業文集に、17歳でインディーズデビューして、20歳でメジャーデビューするっていうのを書いてて。だから僕の予定よりは少し遅くなっちゃいました。
飯田
3年遅れだったな(笑)。

――最初にバンドを組んでいた時に、自分達の憧れだったバンドは?

谷口
アジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)。今も変わらず、ずっとですね。

――皆さん、90〜91年生まれですよね。14歳とか15歳の頃に出会った音楽の影響って大きいと思うんですけど、どの辺が大きいですか?

飯田
アジカンですね。あの頃ずっとスペースシャワーTVを観てて。学校に行かずに一日中50位から1位をずっと見続けてた。で、その時にアジカンの“君という花”のPVが流れて、「すごいこんなバンドがおる!」って思って。学校に行ってもずっとMD聴いてたんで、全然友達できなかったですね(笑)。
谷口
アジカンのせいで友達できなかったみたいな話になっとる(笑)。
小泉貴裕
(Dr)
僕もアジカンですね。僕は高校まで音楽聴かなかったんで。それで(谷口)鮪にバンドに誘われて、初めて好きになったバンドがアジカンだったという。ドラマーとして憧れてる人も伊地知潔さんで。
古賀
僕も14、15の頃は全然音楽に興味がなかったんですよ。アニメばっか観てて、アニソンとかしか聴いてなくて。別にそこでギターが格好いいとも思わなくて、高校に行って、どっちかというと僕の初期衝動は当時の先輩なんですよね。体験入部みたいな形でバンドでセッションをやろうかって話になって。フォーカウントで、皆がバーン!って入った時に「あ、これはやばいな!」って思って。そこで僕の中での初期衝動があったと思います。

――谷口くんは、アジカン以外で言うと?

谷口
僕はマキシマム ザ ホルモンでしたね。中学校二年生、14、15でちょうどホルモンに出会って、そこで音楽が好きになりましたね。

KANA-BOON

谷口鮪(Vo/G.)、古賀隼斗 (G./Cho)、飯田祐馬(Ba.)、小泉貴裕(Dr.)の大阪・堺出身の4人組。昨年4月、キューン20イヤーズオーディションにて4000組の応募者の中から見事優勝。今年4月、初の全国流通盤『僕がCDを出したら』をリリース。今夏、JOIN ALIVE、ROCK IN JAPAN FES、SUMMER SONIC、SWEET LOVE SHOWER、RUSH BALLなど、全国各地フェスへ出演し、入場規制、満員御礼を記録。2013年ライブシーンの台風の目となっている。9月にメジャーデビューシングル「盛者必衰の理、お断り」をリリース。10月30日には、1st Full Album『DOPPEL』をリリース。東阪ワンマンライブ「僕がステージに立ったら」も開催(11月4日(月)@渋谷CLUB QUATTRO、11月15日(金)@心斎橋BIG CAT)。

www.kanaboon.jp


1st full Album
『DOPPEL』

2013年10月30日発売
KSCL-2315 / 2,800円(税込)

[ 収録楽曲 ]
01. 1.2. step to you
02. ワールド
03. ウォーリーヒーロー
04. MUSiC
05. 東京
06. 白夜
07. 目と目と目と目
08. 盛者必衰の理、お断り
09. 夜をこえて
10. 羽虫と自販機
11. A.oh!! <Bonus Track>

[ LIVE INFORMATION ]
KANA-BOON東阪ワンマンライヴ
「僕がステージに立ったら」


日時:11月4日(月)
OPEN 17:00 / START 18:00
会場:渋谷CLUB QUATTRO

日時:11月15日(金)
OPEN 18:00 / START 19:00
会場:心斎橋BIG CAT

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