本文に移動
全体  > 文化

ホッケーリンクに奇跡が起きた

登録:2017-04-30 22:37 修正:2017-05-01 05:57
アイスホッケー代表チームのワールド選手権初出場 

「神」と呼ばれるペク・ジソン監督 
平凡な実力の帰化選手をトレーニング  
「私たち皆が大韓民国の代表」 
選手たち「監督の戦術は全部通じた」 
3年で超スピード1部リーグ昇格
ペク・ジソン監督の率いるアイスホッケー代表チームが今月29日(韓国時間)、ウクライナ・キエフで開かれた2017国際アイスホッケー連盟(IIHF)世界選手権ディビジョン1グループA最終戦でシュートアウトの激戦の末ウクライナを破り、史上初めて1部リーグ入りした。選手たちが鄭夢元大韓アイスホッケー協会長を胴上げしている/聯合ニュース

 3部→2部→1部。

 3年の超スピード昇格だ。強豪がひしめく世界アイスホッケーでは常識外のことといえる。しかし、やり遂げた。1歳の時にカナダに移民し、アイスホッケー選手として大きな成功を収めた後、2014年8月から韓国チームを任されたアイスホッケー代表チームのペク・ジソン(英語名ジム・ペク)監督(50)。彼は30日、仁川(インチョン)空港帰国場で「一人の力だけで成し遂げたのではない。多くの人に助けられたからこそ可能だった」と話した。学校と実業団登録選手の全体233人の劣悪な底辺から構成された代表チームと、「カナダにはいくらでもいる」平凡な実力の外国人帰化選手7人の結合。彼らがウクライナ・キエフで開かれた2017国際アイスホッケー連盟(IIHF)世界大会ディビジョン1グループAで2位(3勝1延長勝1敗)を獲得しワールド・チャンピオンシップに進出したのは“事件”と言える。

 北米アイスホッケーリーグ(NHL)ピッツバーグ選手として1991年、92年の2回、スタンレー・カップを獲得したペク・ジソン監督は、選手たちには「神」と呼ばれている。今大会、ウクライナとの最後の試合での決勝ショットを放ったシン・サンフンは「監督の言うとおりにすれば全部通じる。私も不思議だ」と話した。やはり大会2ゴール、3アシストで先鋒に立ったアン・ジンフィは「相手が怖くない。組織力トレーニングで約束された位置に行けばパスが早い」と話した。1日中相手チームのビデオを分析するペク監督は、トレーニングとチームミーティングの時間に要点を注入する。将棋板で駒は同じでも駒の運び方によって勝敗が決まるように、実戦で使えるので選手らは驚くばかりだ。

 代表チームの選手たちは、試合後半に逆転ゴールをたくさん決めた。同じく北米アイスホッケーリーグ選手出身のパク・ヨンスコーチのエクソス体力トレーニングプログラムが一役買った。アイスホッケー選手の使う筋肉に特化したトレーニングで、アジアリーグシーズンの疲労の影響があっても集中力を失わなかった。

 ペク・ジソン監督は、外国人選手を特別扱いせず、差別することもない。彼は「みんなが大韓民国の選手たち」という。個人行動や目立つ行動もありえない。2018平昌(ピョンチャン)五輪アイスホッケー準備企画団のヤン・スンジュン団長は「競技力より人物を見て帰化選手を選んだ」と話した。食事も一緒に食べ、遊ぶ時も一緒に遊び、愛国歌(国歌)を歌う時も一緒に歌う。

 野球の先発投手のようにチーム戦力の50%以上を占めるゴールキーパーをよく選んだのは幸運だ。2014年から代表チームに合流した1メートル89の身長に90キロのマット・ダルトンは、今大会で92.48%の防御率で序盤3連勝の主役となった。25年以上アイスホッケーに投資した鄭夢元(チョン・モンウォン)大韓アイスホッケー協会長の献身も欠かせない。実業団の安養漢拏(アニャンハルラ)を作り、協会長になる前からシン・サンフン、アン・ジンフィなど漢拏の選手ら多数をフィンランドリーグに1シーズン以上送り、トレーニングをサポートした。2013年協会長の就任直後に、私費20億ウォン(約2億円)を出したことは有名だ。

アイスホッケー代表チームが「故郷に錦」。ウクライナ・キエフで開かれた2017国際アイスホッケー連盟男子世界選手権ディビジョン1グループA(2部リーグ)で2位を記録し、ワールド・チャンピオンシップ(1部リーグ)入りを確定させた韓国アイスホッケー代表チームの選手たちが30日午後、仁川国際空港を通じて帰国し入国場で記念撮影をしている=永宗島/聯合ニュース

 平昌五輪のアイスホッケーへの関心も高まるものと思われる。韓国が世界最強の16チームの集まりであるワールド・チャンピオンシップに進入し、「開催国自動出場」プレミアムという声は聞こえなくなった。カザフスタンなどNHL出身選手が多く布陣されたチームも破った。昨年、カナダ、チェコ、スイスが平昌五輪で韓国と同じ組になると、メディアは「韓国が0-10以上で負ける実力の差がある」とした。しかし、この3年間で急成長した韓国チームは昨年史上初めて日本を撃破し、今年はデンマーク、カザフスタンも制圧した。今大会終盤には帰化選手が4人しか出場しなかったにも関わらず、地元選手たちが全体的に得点やアシストを主導したことも目を引く。

 夢でもアイスホッケーばかり考えるというペク・ジソン監督は、韓国を2002年の韓日ワールドカップ4強に導いたフース・ヒディンク監督と比較される。ペク監督は「ヒディンク監督と比較されるということはすばらしいことだ。でも、私はただジム・ペクであるだけ」と語った。

キム・チャングム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/sports/sports_general/792873.html 韓国語原文入力:2017-04-30 21:49
訳M.C(2371字)

関連記事