憧れのレジェンドに勝ってつかんだ「金」ノルディック距離20キロの川除大輝

2022年3月7日 21時37分
メダルセレモニーで、金メダルを手に笑顔を見せる川除=共同

メダルセレモニーで、金メダルを手に笑顔を見せる川除=共同

 【張家口=高橋淳】ずっと背中を追ってきた大先輩と切磋琢磨せっさたくましてきた。7日、北京冬季パラリンピックノルディックスキー距離男子20キロクラシカル立位で、川除かわよけ 大輝たいき(21)=日立ソリューションズJSC=が初の金メダルに輝いた。今大会を集大成と位置付ける「レジェンド」、新田佳浩(41)=日立ソリューションズ=に勝ってつかんだ栄冠。ホープがエースのバトンを受け継いだ。
 フィニッシュラインを越え、日の丸を背負う。息を切らせながら、充実の表情を浮かべた。「素直にうれしい気持ちが一番です」
 新田との縁の始まりは小学4年にさかのぼる。所属していた地元・富山のスポーツクラブの監督が知り合いで、引き合わせてくれた。2010年バンクーバー大会で獲得した金メダルを触らせてもらった。新田に憧れ、中学2年の時、後を追うようにパラスキーの道に進んだ。
 パラリンピック初出場となった18年の平昌大会。個人種目で入賞できず、悔しさが残った。通算3個目の金メダルを獲得した新田の表彰式。「自分もここに立ちたい」。どこかでスイッチが入った。
 ここから急成長を遂げる。ストックを使わない分、頼りにする下半身を鍛え抜いた。翌年の世界選手権で初優勝。新田がけがで苦しむ中、国際大会で安定した成績を収める。レジェンドはライバルになった。
 北京大会のこの種目で、表彰台に2人そろって立つのが目標だった。それはかなわなかったが、「本当によく頑張ってくれたと思う」と新田はねぎらう。「これがゴールではない。一日一日成長してほしい」とエールを送った。
 川除は新田の姿から、日本チームを引っ張る責任の重さを強く感じてきた。「これからは自分が頑張っていきますと伝えたい」と話す。
 エースと呼ばれることには違和感があった。これからはそうも言っていられない。「パラリンピックに1回勝っただけではだめ。何回も勝ってエースになりたい」

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