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自民党の二階俊博・元幹事長が率いる二階派が、衆院選後の立て直しを急いでいる。衆院解散時には党内第4派閥で47人が所属していたが、最高顧問の伊吹文明・元衆院議長や会長代行の河村建夫・元官房長官が引退したほか、落選者が相次ぎ、37人に減ったためだ。
自民党は5日付で、無所属の細野豪志衆院議員の入党を許可した。細野氏は民主党政権で環境相などを務めた。2017年に民主党の後継の民進党を離党。19年1月に二階派の特別会員となり、自民党入党を目指してきた。
細野氏の入党に、二階派幹部は「ようやく認められた」と喜んだが、派閥を取り巻く状況は厳しい。二階氏は10月、5年余り務めた党幹事長を退き、岸田首相(党総裁)の下では無役になった。衆院選を経て目減りした10人は党内7派閥で最も多く、二階氏は今月4日の派閥会合で、「選挙は大変だと常々言ってきたが、決して言い過ぎではなかった」と振り返った。
今後、二階派には衆院選で当選した新人や元議員らが入会し、40人台に回復する見込みだ。派内では、衆院当選4回の小林経済安全保障相(46)や小倉将信青年局長(40)ら次代を担う中堅・若手も頭角を現し始めているが、派閥の最高幹部だった伊吹氏ら重鎮が引退したことで、派閥の再構築が急務となる。
人脈カギに
巻き返しのカギは、二階氏の人脈にありそうだ。
二階氏は、菅前首相と気脈を通じている。菅氏は岸田首相と一定の距離を保っており、二階派中堅は「菅氏を支えるグループと連携し、派閥の立て直しを図るべきだ」と話す。
二階氏は9月の自民党総裁選に出馬した無派閥の野田少子化相との関係も良好だ。二階氏が幹事長時代、野田氏は幹事長代行を務めた。総裁選では二階派議員8人が推薦人になっており、先の衆院選で野田氏は二階氏の地元の和歌山3区に応援に駆けつけたほどだ。二階派内では「『ポスト岸田』に向けて派閥として、多くのカードを持った方がいい」との意見もある。
老練な二階氏は「随一の政治的技術を持つ」(安倍元首相)と評されている。最大派閥・細田派のベテランは「このまま二階派が沈んでいるとは思えない」との見方を示す。