大相撲の境川部屋の力士約20人が、東京・足立区の同部屋の前を流れる毛長川(けながかわ)で溺れた30代の女性を救助していたことが11日、分かった。
部屋関係者によると、10日午前5時10分ごろ、部屋から約20メートル離れた橋から30代女性が転落。通りがかりの男性と女性が約3メートル下の川へ飛び込む様子を見ており、70代男性が「死ねない」という30代女性の声を聞いて110番通報。女性はすぐさま近くの境川部屋へ救援を求めたという。師匠の境川親方(57)=元小結両国=は朝稽古に備えていた部屋の力士に、「すぐに行け!」と救助へ向かわせた。
男性が護岸から手を伸ばして、流された30代女性の手をつかんでいたが、駆けつけた力士らによって引き上げられ、さらに約2メートル上の道路まで持ち上げられて救急搬送された。30代女性は自殺を図ったとみられ、病院へ運ばれたが命に別条はないという。
この知らせを聞いた境川親方は、関係者に対して「大事に至らなくてよかった。相撲部屋の前でこんなことになっていれば、どこの部屋でも同じことをする。当たり前のことをしただけ」と伝えたという。
警視庁竹の塚署では境川部屋や助けを求めた男性らに対して、感謝状を贈ることを予定している。境川部屋には25人の力士が在籍。部屋付きの元大関豪栄道の武隈親方らのほか、関取では幕内妙義龍、佐田の海が在籍している。