アラブ諸国との関係改善模索 トルコ大統領、サウジ訪問

トルコのエルドアン大統領(AP)
トルコのエルドアン大統領(AP)

【カイロ=佐藤貴生】トルコのエルドアン大統領は28日、サウジアラビアを訪問する。トルコのサウジ総領事館で反体制サウジ人記者の殺害事件が起きた2018年以来、冷え込んできた両国関係は改善に向かう見通しとなった。

トルコ大統領府によるとエルドアン氏は29日まで滞在し、2国間の協力強化や国際情勢について意見交換する。実力者ムハンマド・ビン・サルマン皇太子と会談する可能性もある。

反体制サウジ人記者のジャマル・カショギ氏は18年10月、トルコ・イスタンブールのサウジ総領事館内で殺害された。エルドアン氏はサウジ政府の「最高レベル」が殺害を命じたなどと非難してきたが、事件の審理を担当するイスタンブールの裁判所は今月、公判を中断して審理をサウジに移管すると決定。和解の兆しとの観測が出ていた。

トルコは近年、周辺地域の多くの紛争に介入するなど強権的な対外政策を進め、アラブ諸国との関係も険悪になっていた。昨年には通貨トルコ・リラが対ドルで急落してインフレが深刻化しており、石油大国サウジとの和解を経済好転に生かす狙いがある。トルコはエジプトなどとの関係改善も模索している。

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