夫婦別姓

夫婦同姓規定「合憲」判決読み解き 通称使用広がり「不利益緩和される」 子供の姓も問題視

 最高裁大法廷の多数意見が、夫婦同姓規定を判断する上で重視したのが、「結婚で姓が変わる人の不利益」だ。

 多数意見は姓の変更で「仕事上の不利益」「アイデンティティーの喪失感」などが生じることを一定程度認めた。さらに、寺田逸郎長官も補足意見で「人々のつながりが多様化するにつれて、窮屈に受け止める傾向が出てくる」と指摘している。

 それでも現規定を合憲としたのは、通称使用の広がりにある。民間調査機関「労務行政研究所」によると、平成7年に旧姓使用可能な企業は約18%だったが、上場企業約3700社を対象に行った25年には約65%まで進んだ。また、公務員は本人の申し出で職場での旧姓使用が可能。弁護士など多くの国家資格も仕事上の通称使用を認めている。こうした背景から、多数意見は「通称使用が広がることにより、不利益は緩和され得る」とした。

 また、別姓導入の可否についての議論に対し、子供への視点が欠かせないことも示唆している。寺田長官は補足意見で、「嫡出子との結びつきを前提としつつ、夫婦関係をどうするのかに議論の幅を残す」と指摘した。

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