2000年の通信関係の主な出来事

●マイクロソフトがWindows NT4.0の後継OSとなる「Windows2000」を発売(2月)

●ジュピターテレコムとタイタス・コミュニケーションズが統合(9月)

●IIJが国内初となるIPv4を経由しないIPv6によるインターネット接続サービスを開始(9月)

 通信業界に大再編があったのが2000年。京セラ系の長距離通信事業者DDIと国際電話事業者KDD,そしてトヨタ自動車系の携帯電話事業者の日本移動通信(IDO)が10月1日付で合併し,新生ディーディーアイ(アルファベット表記はKDDI,2001年には社名もKDDIに改称)が発足したのだ(写真)。これによって,固定(国内・国際)と移動,インターネットを手がける総合通信事業者は,NTT,KDDI,日本テレコムの3グループに集約された。

 DDIの会長兼社長からKDDIの新社長に就いた奥山雄材氏は「NTTグループに対抗する軸を目指す」と宣言。具体策として,モバイルとIP関連事業に経営資源を集中した。

 IP関連事業では,データ・センターの拡張計画を進め,各地のデータ・センターに大量のIPトラフィックを取り込めるようにし,IPバックボーンの整備も進めた。

 旧DDI傘下のセルラー・グループ7社とIDOが地域を分けてそれぞれ提供していた携帯電話サービスは,合併前後に徐々に再編した。前年にcdmaOne方式による全国統一サービスを始めたのに続いて,7月には統一ブランド「au」のサービスをスタート。11月には,セルラー・グループ7社が合併した新会社エーユー(au)が発足した。翌年にKDDIはauを合併,2005年にはツーカー・グループ3社を吸収して現体制に至っている。

 KDDIは10月1日に「KDDI割引セット」の提供を始めた。KDDIグループの固定電話と携帯電話・PHSサービスを併用した場合に,固定電話の料金を割り引くサービスである。固定通信と携帯電話のセット割引は,これが国内初だった。J-フォンと日本テレコム(どちらも当時)も,KDDIに追随して携帯電話と固定電話のセット割引サービスを翌年から開始した。

 KDDI発足に加え,J-フォン・グループも10月に9社の地域会社を合併して3社に統合するなど,携帯電話業界では大きな再編が続いた。

移動電話が固定電話を上回る

 2000年は,移動電話(携帯電話・PHS)の加入者数が初めて固定電話を上回り,通信の“主役”が交代した年でもある。

 2月末時点では,固定電話(ISDNを除く)の加入数が5593万,移動電話が5553万1900加入だったが,3月に入って逆転。右肩上がりに増加し続ける移動電話とは対照的に,固定電話の加入数の減少傾向がその後も続いた。

 99年にNTTドコモが開始した「iモード」やIDOとセルラー・グループが開始した「EZweb」といった携帯電話向けのインターネット接続サービスの登場も,ユーザーの急増を後押しした。携帯電話は音声通話だけではなく,データ通信用の端末として本格的に使われ始めるようになった。

 第3世代携帯電話(3G)にも大きな動きがあった。旧郵政省が7月,NTTドコモ,J-フォン,KDDIの3グループに対して事業変更許可を交付し,3G向け周波数帯を割り当てた。