朝日新聞デジタル：青い卓球台　復興願って - 神奈川

青い卓球台　復興願って

三英の卓球台の組み立て作業＝茨城県常陸大宮市、同社提供

今年１月の日本選手権でも、「ＳＡＮ―ＥＩ」と書かれた三英の卓球台が使われた＝１月１７日、東京体育館

　８月のリオデジャネイロ五輪で使われる卓球台を製造しているのは、日本の中小企業だ。千葉県流山市に本社がある従業員約１００人の「三英」。同社の台が五輪で登場するのは１９９２年のバルセロナ以来。今回は、その色に震災復興の願いを込める。

　三英は、４０年に東京・上野で設立された材木店が前身だ。天板を造る技術を生かして、卓球台生産に乗り出した。国内シェアの７割を誇り、研究・開発から試作、部品製造、試験までを行う専用工場を北海道足寄町に持つ。リオで使われる台はすべて、この工場で造られた素材を茨城県常陸大宮市で組み立てたものだ。

　「ブラジルは、世界で最も多く日系人が住む土地柄ということもあり、社内一丸となって採用を目指した」と執行役員の吉沢今朝男（け・さ・お）さん（４７）は振り返る。

　球の弾み具合、その際の音の安定感など技術についてはすでにお墨付きを得ている。そこで、新しい色で思いを表現することに。いま主流の青と、かつて卓球台の代名詞だった深緑の中間の色合いで、フランス語で青い瞳を意味する「レジュ・ブルー」と名づけた。

「若草や息吹の色で生命をイメージして、東日本大震災からの復興を願った。ブラジル国旗の緑と融合させて考え出した」と吉沢さんはいう。

　青色の卓球台が国際舞台にお目見えしたときも、三英製だった。

　８０年代後半、有名タレントが「卓球って根暗だよね」と人気テレビ番組で発言した。国際卓球連盟会長だった荻村伊智朗さん（故人）は、卓球台の色を深緑から変えてイメージを明るくしようと思った。黄、ピンクなど１０種類ほど試して選手に練習してもらい、プレーしやすさも考えて青に決定。９１年に千葉で開かれた世界選手権で使われた。

　三英の卓球台の納入先の８、９割は、学校や体育施設といった公共関係が占める。吉沢さんは「五輪でトップアスリートが使う効果は大きい」としながら、こうも語る。「卓球を楽しむすべての人に、気持ちよく使ってもらいたいという思いが根底にある」

（八鍬耕造）

■中国勢が圧倒的　日本の男女迫る

　卓球は、中国勢が男女とも圧倒的な強さを誇るが、日本勢がそれに迫っている。２０１２年ロンドン五輪女子団体で、銀メダルを獲得し、初めて表彰台に上がった。今年の世界団体選手権では、男女とも中国に次ぐ銀メダル。今夏のリオデジャネイロ五輪は、団体戦に加えて個人戦でのメダル獲得にも期待がかかる。

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　８月にリオ、４年後には東京で開かれる五輪・パラリンピック。アスリートを支える用具などを手がける人や企業を随時、紹介します。

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