狙われる大量在庫の食材…コロナ禍で苦しむ卸会社、痛恨の「取り込み詐欺」被害

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 大量の商品を受け取り、代金を払わずに行方をくらます「取り込み詐欺」。コロナ禍で電話やオンラインの商談が増えたことで、相手の不審点に気づけず、被害に遭うリスクが高まっている。飲食店の営業自粛で余った高級食材などが狙われており、警視庁などが注意を呼びかけている。(小林岳人、渋谷功太郎)

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もぬけの殻

仲卸業者との取引記録を手に当時を振り返る食肉卸会社の社長(18日、東京都内で)
仲卸業者との取引記録を手に当時を振り返る食肉卸会社の社長(18日、東京都内で)

 「コロナ禍で、最初の面談後は電話やメールでやりとりしていた。取引を繰り返すうちにすっかり信用してしまった」。東京都内の食肉卸会社で社長を務める60歳代の男性が悔やむ。

 横浜市の仲卸業者を名乗る男から「冷凍肉を買いたい」と電話があったのは、感染拡大の第2波まっただ中の昨年8月。外食需要の落ち込みで大量の在庫を抱えていた男性は、喜んで先方の「東京営業所」が入るマンションを訪れた。

 応対した「営業課長」は食肉商品や相場に詳しく、売れ筋のデンマーク産冷凍豚バラ肉の取引を求めてきた。翌9月に行った最初の取引は約2トン。代金約100万円は期日の10月末にきっちり入金された。

 同月から11月にかけ、さらに20回・計60トン(約3500万円)の注文を受けた。「うちの社長は忙しい」と言われ、一度も社長に会えないことが気にはなったが、コロナ禍での受注は貴重で、商品の配送を続けた。

 代金の入金を待っていた11月末。突然、弁護士名で「コロナで業績が悪化し、破産手続きに入る」と書面が届いた。営業所に駆けつけたが、もぬけの殻。営業課長の携帯電話もつながらなかった。

 商品はとっくに転売済み。社長は行方知れずで、破産手続きはいつまでたっても始まらない。男性はだまされたと確信し、警察に相談した。中小企業の会社にとって約3500万円は痛恨の被害で、「コロナ禍の苦境につけ込んだ手口で、絶対に許せない」と憤る。

 

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