JR東海の鉄道グッズ通販サイト、座布団除き瞬間蒸発
お宝を手にできない多くの鉄道ファンが涙した。JR東海が実際に使った鉄道グッズを放出するネット通販サイト「JR東海鉄道倶楽部」が12日にオープン。乗務員用懐中時計など24品目が出品されたのだが、座布団を除き数分で売り切れたのだ。熱狂の様子と背景を追ってみた。
「一瞬で売り切れてる」「サーバー落ちでつながらない」。12日の12時にグッズの販売が始まって間もなく、ツイッターには鉄道ファンの悲鳴が相次いで投稿された。
今回、JR東海が放出したのは東海道新幹線の装備品。乗務員用懐中時計(税・送料込み2万3000円)の30秒を筆頭に、700系車両の運転台の椅子(8万円)は2分、グリーン車の座席(2席8万円)は5分で売り切れた。1時間後には19品目が完売。13日の正午時点で残っているのは客席の座布団(普通車7000円、グリーン車7500円)だけだ。
JR東海が鉄道グッズをインターネットで販売するのは初めて。リニア・鉄道館(名古屋市港区)や浜松工場(浜松市)で不定期に販売会を開いたことがあったが「全国のファンに愛用してもらいたい」(JR東海)と、民営化30年の節目に通販サイト開設を決めたという。第1弾としてほかに出品されたのは行き先表示器の字幕(4万5000円)、「東海旅客鉄道」の銘板(1万2000円)など。中古品としては安くはないが、通常はお金を出しても手に入らない貴重な品々に鉄道ファンが殺到した。
ただ、純粋な鉄道ファンだけではなかったようだ。ヤフーの競売サービス「ヤフーオークション」には12日の午後3時頃に8万円の運転台椅子が17万8000円で出品されるなど、転売で利ざやを稼ごうとする人も少なくない。
気になる次回の出品だが、JR東海によると販売目的で製造しているものではないため、時期や品目は見通せないという。基本的に廃車のタイミングでしか在庫がない激レア商品で、100系や300系の新幹線など既に廃車になっているものは出品されない。「新幹線に限らず皆さんに愛される鉄道グッズを幅広く用意していきたい」(広報担当)と話している。
(秦野貫)