【尾車親方の目】押し相撲信じろ貴景勝

スポーツ報知
隠岐の海(手前)に上手投げで敗れた貴景勝(カメラ・渡辺 了文)

◆大相撲春場所2日目 ○隠岐の海(上手投げ)貴景勝●(9日・エディオンアリーナ大阪)

 貴景勝の立ち合いに違和感を覚えた。もろ手から突き放すこともなく、圧力が下から上に抜けるような当たりだった。隠岐の海はそれほど押し相撲に強い力士ではない。その隠岐の海に受け止められ左を差されて右上手も取られた。しかも貴景勝は左から投げを打って逃げようとした。大きなけがにもつながる悪い癖でさらなる墓穴を掘った。

 確かに押し相撲はつかまると苦しい。それでも貴景勝のあの丸い体には押し相撲しかないのだ。私も現役時代に先代の佐渡ケ嶽親方(元横綱・琴桜)から「お前が組んで十分でも相手はそれ以上に十分だ」と口酸っぱく言われた。立ち合いを磨くしかないのだ。そして無観客で集中力を欠いていたのなら、貴景勝は大関で止まってしまう。15日間、同じ立ち合いで戦うことは至難の業だが、気力と体力を充実させた相撲を何番取るかで番付も決まる。何度でも言う。貴景勝には押し相撲しかない。(スポーツ報知評論家)

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