「医師から情報」導入言及 警察庁有識者会議
運転免許の持病虚偽申告
てんかんなど運転に支障を及ぼす恐れのある発作を伴う病気患者の運転免許制度が変わる見通しとなった。警察庁の有識者会議は25日、持病に関する故意の虚偽申告で免許を取得・更新した場合の罰則新設を提言。さらに自己申告以外に、運転に支障のある患者を把握するため、医師が任意で警察側に情報提供する制度の導入にも言及した。
今後は交通安全を重視しつつ、患者や医師の立場も踏まえた情報提供の基準作りが焦点になる。
有識者会議は、外見や免許試験による判断は困難としたうえで、医師が必要に応じ警察側に通報する制度の導入を提言した。栃木県鹿沼市のクレーン車事故の遺族らが求めていた通報義務化は見送られた。
同会議は「医師は人の疾病に関する事実を行政機関等が的確に認知するための情報提供者として最も信頼に足る」と指摘。一方で刑法上、守秘義務が課されていることから、通報制度を法律で定める必要性を強調した。
さらに通報制度が導入された場合、医師と患者の信頼関係に与える影響にも考慮。信頼関係と通報制度の実効性を担保するため、医師団体なども交え、通報に関するガイドラインを設けることを求めた。
同会議は、虚偽申告に対する罰則や医師からの通報制度の導入と同時に、適正に申告した人への負担軽減も求めた。適正に申告したことで免許を失った患者が、投薬治療などで症状の回復後に免許を再取得する際の試験免除などを提言した。
物損事故を繰り返した後の人身事故で初めて、病気が発覚することもあるため、全国的に物損事故のデータベースを整備し、一定の病気の疑いがあるケースを把握しやすくする案も示された。