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【ロンドン=池田慶太】北欧のフィンランドとスウェーデンが、北大西洋条約機構(NATO)に加盟申請するかどうかの検討を本格化させている。ロシアのウクライナ侵攻を受けた安全保障政策見直しの一環で、「軍事的中立」を掲げる両国がそろって方針を転換する可能性がある。NATO拡大に反対するロシアは強く反発している。
フィンランドのサンナ・マリン首相は13日、訪問先のスウェーデンで行った共同記者会見で、「ロシアからのあらゆる種類の行動に備える」と語り、NATO加盟申請について数週間以内に判断する考えを示した。スウェーデンのマグダレナ・アンデション首相もNATO加盟に関し、「(政府内で)真剣な検討が行われている」と述べた。
英メディアなどは、両国が6月にスペインで開かれるNATO首脳会議に合わせ、加盟を申請するとの見方を報じている。
フィンランドは、冷戦期から米国とソ連(ロシア)のどちらの軍事同盟にも属さない「軍事的中立」を掲げてきた。NATOのパートナー国だが、ロシアに配慮し、加盟はしていない。スウェーデンも軍事同盟に属さない立場を取っている。
しかし、未加盟のウクライナに対するNATOの軍事支援が武器供与などにとどまることから、両国とも有事を見据えた対応強化を迫られている。フィンランド政府は13日、ロシアのウクライナ侵攻後の安保環境に関する報告書を公表し、「安保環境は冷戦期以降のどの時期よりも厳しくなっている」と指摘した。
一方、ロイター通信によると、ロシア安全保障会議のドミトリー・メドベージェフ副議長(前大統領)は14日、両国がNATOに加盟すればバルト海周辺の戦力を増強すると警告。核兵器の配備も示唆し両国の動きをけん制した。