森元首相、李登輝氏を弔問 台湾総統が会談し謝意
【台北=共同】森喜朗元首相は9日、チャーター機で台湾・台北市を訪問し、先月30日に死去した李登輝元総統の追悼場が設置された迎賓館「台北賓館」を訪れ、李氏の遺影に花を手向けて弔意を表明した。これに先立ち森氏は総統府で蔡英文(ツァイ・インウェン)総統と会談し、蔡氏は弔問に謝意を示した。台湾メディアは「弔問に訪れた最初の外国要人」と伝えた。
蔡氏は「李元総統は台日関係を重視してきた。李元総統と皆さんの努力で台日関係は格段に向上した」と強調し、森氏は「日本の政治家は皆、李先生を尊敬してきた」と述べ、安倍晋三首相からの伝言として、李氏への「感謝」を伝えた。
蔡氏は、安倍首相らが台湾の世界保健機関(WHO)への参加支持を公言していることに感謝を表明。新型コロナウイルス感染対策での協力を呼び掛け、延期された東京五輪・パラリンピックの成功を「台湾は応援していく」と述べた。
森氏は弔辞で「台湾は、あなたが理想とした民主主義を成し遂げ、台湾と日本は親善関係・友好関係を築き上げた」と功績をたたえた。
超党派の日華議員懇談会の古屋圭司会長(自民党)らが同行した。一行は9日夜、台北市の空港から帰国の途に就いた。
台湾の中央感染症指揮センターは訪問団の全員に、訪台前の新型コロナ検査で陰性であることの確認を求めた。台湾入り後はマスク着用の上、専用車で移動し隔離状態を維持。弔意表明は追悼場の一般公開終了後に行い、市民との接触を断つなど感染対策を取った。